やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

2021-01-01から1年間の記事一覧

午後の読書 「マイトレイ」ミルチャ・エリュアーデ著

碩学、二人目、ミルチャ・エリュアーデ(1907~1986)は学術的著作の他に小説を書いていました。私は、むしろ小説家として好きで、もっと有名になってよい作家だとおもっていましたが、ご本人にとってはどうだったのでしょう、研究は主にフランス語で…

午後の読書 「官能の庭」マリオ・プラーツ

台風の近づいているらしい風の音。隙間風で楽譜が吹っ飛ぶので弾いていられません。 ピアノの蓋の上で読書。 碩学、というと思い浮かべるのは、宗教学者のミルチャ・エリュアーデと、このマリオ・プラーツです。他に、ウンベルト・エーコなんて別格総本山み…

午後の読書 「断片からの世界」種村季弘

外は炎熱の午後。車の屋根で目玉焼きができそう。 オリンピックもそろそろ終わりですね。祭りの後のむなしさに蝉の声ばかりが、やたらにふりしきる。 今日は久しぶりに種村季弘の著作を開いて、二十世紀にもどったような気分です。 「断片からの世界」副題 …

午後の読書

あまりに暑いので、このところ仕事は午前中と夜になってからにしています。 午後の二時から四時くらいまではお茶と読書の時間。 今日はw・g・ゼーバルトの「土星の環」鈴木仁子訳 を読みました。良い作家ですねー。 始めて読んだのは図書館でのことでした…

木槿の花

川の縁の木槿がベランダから顔を出しました。一日でしぼむ儚い花のあでやかさ。 いわゆる宗旦木槿は、もっと花びらが丸い感じがしますから、これは花の底が紅の、野辺の木槿なんでしょうかしらね。 芭蕉の「野ざらし紀行」句に みちのべの木槿は馬に食はれけ…

オリンピックつい見てしまって仕事がはかどりません。陸上競技大好きなんです。普段あまり見る機会がないので、世界最高レヴェルの競技をめにできるのが、私にとってはオリンピック最大の愉しみです。走るのが早いって、素敵ですよね。ホメロスもギリシアの…

ステイ・ホーム

オリンピック、選手は皆美しくていらっしゃいますね。 開会式は寝落ちしました。人生の短さを嘆きたい日は、あの日の会長の御挨拶を思い出しましょう。 ステイ・ホームといっても、もともと家にこもって人に会わない生活なので、取り立てて変わったこともな…

俳画 梔子

雨の中梔子の匂いが漂ってきます。人懐かしい香りです。 梔子や暗がり坂に人のなく おるか 暗がり坂は金沢の坂の一つです、細い石段がうねうねと茶屋街の軒を縫ってゆきます。確かに暗い坂です。折からの雨に人もなく、ふと梔子の香りがしたような。 金沢に…

「大皿の使い方がわからなくて」という御質問を時々受けます。お好きなように使いまわしてやってください、とお答えするのですけど、私自身それほど特別斬新な使い方も思いつきませんが、果物を盛るとたくさん入って嬉しいし、花を活けても、もちろん良い。 …

花を生けるということ

紫陽花の花頸は、意外にごつい。葉っぱも大きくて面白みがないので思うさま切り落とす。来年の花のためとはいえ、首だけを切って大皿に盛り上げる。凄惨な眺めのはずである。しかし美しい。 もともとあった場所の調和の世界から切り取られ、断片として異界に…

スマイルザウルス

今朝の夢に現れた怪獣フィギュア。これがどこかの古びた机の上に並んでいました。 鷹さ15センチ~20センチくらい。 せっかくだから描いておきました。 見返りダイナソア。 こんなものがずらりと…。 ダイナソア十四五体もありぬべし おるか 考えて見ると鶏頭…

窯跡展示館まで

用事があって、市内の窯跡展示館まで行ってきました。 こちらは、昔ながらの九谷焼窯元のお家で、絵付け体験などができる施設です。 ろくろも体験できます。 九谷焼は、轆轤など成形と 絵付けが分業だったといいますが、壁一つ隔てた同じ屋根の下なら、きっ…

俳画 鉄線

鉄線の花が満開です。 その名の通り、鉄線の蔓は、「なんで出来てるんだ!」って思う硬さですね。 ベランダの鉢からあふれだして、外の花石榴の枝をがっちりつかんでいます。ただ、蔓性植物植に往々見かけられるように、巻き付いた相手の表皮に食い込むよう…

六月の表紙 アフタヌーンティー

初夏と云うには熟し、梅雨にはまだほんの少し間のあるつかの間の眩い季節。緑って、こんな輝かしい色だったっけと日々に驚く。 仕事場で一人だけのアフタヌーンティーを作業机にひろげました。イギリス式の三段重ねのスタンドの代りに、手付き鉢など使って。…

菖蒲

菖蒲いただきました。大きくて立派です。虫みたいな花がちょっと不気味。 しばらく鑑賞して、今宵は菖蒲湯にいたしましょう。 鋭く伸びた眞緑の剣。梅雨に向かって、邪気を払ってくれるでしょう。 菖蒲刈る山の向こうの昼花火 おるか 花火は夏の季語ですが、…

小さき者たち

先週から窯焚きの準備忙しくで更新できませんでした。 今回の窯では、新しい粘土と釉薬を試してみました。ついでに自分用のお遊びも。 ラッコ箸置きとか。ライオン筆架。 ライオン携帯スタンド。 仕事しながら携帯で、音楽聞いたり小説聴いたりしていますが…

雨が降る

良く降りますね。 北陸の山里では普通に、かなり降るな、と言ってられるくらいの雨でしたが、大変なところも多いようですね。この頃は、雨の降り方も凶暴になってきました。童謡に歌われているような雨は昔のものになってしまったのかな。 写真の下に見えて…

風雨に咲く薔薇

昨日、木々を揺らす風の中に開いた白い薔薇。今日は大雨で、外にでられなかったけれど、おそらく風雨に痛めつけられてしまったことでしょう。 なんで、わざわざこんな日に、と思うけれど、だからこそ心に引っかかってわすれられない。 天国というところに花…

新緑の美術館カフェで

新緑の眩いばかりの公園を抜けて、九谷焼美術館に行ってきました。カフェでいただいたのはジャスミンの香りの中国茶白龍茶です。 豆皿とぐい飲みもずいぶん昔造ったものなので、我ながら懐かしい気がしました。豆皿には気の利いたお茶請けが乗っていたんです…

俳画 木下闇

どくだみの花。五月の緑の中に印象的な白い十字。真ん中の黄色がご愛敬。 またの名を十薬というだけに、薬効があります。匂いが嫌われますが、お湯に放すとその匂いは一瞬で消えますので、よくお風呂に入れてドクダミ湯にします。消炎作用があるようですね。…

筍昆布と白い花

京都のの料亭八百忠様から筍昆布をいただいたので、さっそくお昼にいただきました。 写真中央の小付けに乗っているのですが、暗くてよく見えませんでしたね。 塩分を気にして、なにかと控えめな昨今ですが、こちらのは古典的味わいです。おそらく昔と比べた…

五月の表紙,、新緑のランチ

山々の緑の諧調のまぶしい五月。風の香りの心地良い季節です。庭で三つ葉を摘み、木の芽を採って食事にそえるのも、花を切って、自作の器に活けたりするのも、楽しい。窓を開けて座っているだけで、地球に許されている気がする。 手前の染付の筍御飯のお椀は…

亀軍団

亀さん箸置き 染付のまずは線描。かわいたところでダミ(濃いところ薄いところと塗り埋める)をします。右側の黒く見えるのがその状態です。 その上に釉薬をかけて本焼きをすると、その下の青い色の亀になります。焼かれて一回り小さくなるんです。動物を作る…

白い花のころ 山芍薬、一輪草

山芍薬 日本原産の野趣と気品を併せ持った芍薬。薄紙のような透き通った白は三日と持ちません。写真のように完全に開いてしまえば明日には散ってしまうことでしょう。儚い。 木漏れ日に閉ずるさ知らず山芍薬 おるか 白花延齢草 この花もなかなか増えてくれま…

赤絵金彩、廃園の薔薇

久々に、赤に金彩で描いてみました。お寿司屋さんの湯飲みのような大きなお湯呑みとと小さな杯。模様は薔薇なんです。 九谷焼美術館の金際の間においてある作品もそうですが金彩はキッチリ丁寧なものが多いですね。高価な材料なので、大事に大事に使いたい気…

筍ご飯

これでもかとばかり筍の入った筍御飯。 京都の料亭八百忠さんからいただいた筍。さすがに「えぐみって何のことかしら?」とでも言いそうな貴婦人のごとき筍でした。 贅沢にタケノコ三昧のランチ。 さりながら竹の子御飯というよりは。竹の子に御飯がまぶして…

四月の俳画 新じゃが

新じゃが 新じゃがって芽を出す力が強いんですってね。使い残した小さなジャガイモ、見事に芽を出していました。台所の片隅で、密かにたぎらせるものがあったご様子です。 句は おほ寺の庫裡に音なくくれかぬる おるか 絵を描いてから考えるものですから、い…

四月のテーブル 桜の器

青い桜 メインデイッシュは白アスパラガスです。フランスから空輸で加賀に届いたところ。 半熟卵をトロ~っとかけるのが美味しいんだけど、他の料理してたら普通のゆで卵になってしまったので、急遽タルタルソースにしました。 器は手付き鉢なんですが、写真…

汚れちまった悲しみに

あの純白の花弁が、いまや、…。 しかし、美しいままでいてくれというのは残酷な願いです。 この世にあれば汚れるのも、また一興。 汚れつちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる 汚れっちまった悲しみに 今日も風さえ吹きすぎる 中原中也 中也も、その悲し…

花の日の

北陸もソメイヨシノは満開になりました。美術館の前の公園の、橋の上からの眺めです。屋根の付いた橋なんです。 ソメイヨシノのいかにもその下に死体の埋まっていそうな、狂ったような咲きぶりも嫌いじゃないけれど。 あまりどこでもこればかりで、多少変化…