やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

さくらロールケーキ

公園の桜を眺めてから、九谷焼美術館のカフェ「茶房古九谷」で台湾茶とさくらロールケーキをいただきました。花は散りかけるところ。今年の花も行ってしまう。

ロールケーキはクリームと漉し餡がほどよく包まれていて甘すぎずおいしい。餡の中に仄かに桜の香りがします。少し葉がちになった桜を眺めるごとき淡いあずき色もきれいです。窓の向うに老桜の梢が鎮まっています。

ひさしぶりにユルスナールの「アレクシス」を読み返しました。このところマルグリット・ユルスナールを集中的に読み直しています。「ハドリアヌス帝の回想」や、「黒の過程」などは、名作!という感じですが、若書きの魅力ってありますね。

「アレクシス」は、文章の一つ一つに感受性の震えが感じられる。写真のとおりポケット版の表紙はエゴン・シーレの自画像で、かっこ良すぎっ!てかんじですが、主人公アレクシスは、もっと儚げというか内省的というか、憂い顔のピアニスト。生まれつき生きるのに疲れているみたいな、毎日を思い出を眺めるように過ごしているみたいな人。

今、口にする桜餅の葉っぱの香りが、去年の花の思い出の香であるごとく…。と必死で桜餅に話題を返してみました。

 

水底も葉桜瞠りて死へ入らむ  おるか

 

「眼を瞠いたまま死の中へ入って行こう」はハドリアヌス帝の詩の一節