やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

午後の読書

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あまりに暑いので、このところ仕事は午前中と夜になってからにしています。

午後の二時から四時くらいまではお茶と読書の時間。

今日はw・g・ゼーバルトの「土星の環」鈴木仁子訳 を読みました。良い作家ですねー。

始めて読んだのは図書館でのことでした。書架の前に立ったまま一時間ほど読み溺れていました。「アウステルリッツ」という小説で、我に返って「ユーリカ」とつぶやきました。図書館ですから、そーっとね。

凄い作家発見した、とワクワクしていたら、ほどなくして訃報に接することになりました。昔からそうなんですよね。白鳥の歌好き、というかなんというか。これで残りの人生退屈しないですむ、なんてほくほくしていると、すぐ亡くなってしまうの。

ゼーバルトの作品はかなり暗く重いけれど今日読んだ「土星の環」は、イギリスの海岸線を一人歩き続け、廃墟になるために作られたような建物を巡ります。かつてそこに暮らしていた、それぞれ奇矯で孤独な人々の過ぎ去った時のよすがをたどりながら。廃墟と荒涼の美、たまりません。また旅行できるようになったら、イギリス廃墟巡りしたいものです。私の家も、そのうち廃墟になるのでしょうね。多少、奇矯で孤独な住人の、しばしの名残に。