やきもの日和

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午後の読書 「官能の庭」マリオ・プラーツ

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台風の近づいているらしい風の音。隙間風で楽譜が吹っ飛ぶので弾いていられません。

ピアノの蓋の上で読書。

碩学、というと思い浮かべるのは、宗教学者のミルチャ・エリュアーデと、このマリオ・プラーツです。他に、ウンベルト・エーコなんて別格総本山みたいな方もいらっしゃいますが。

エリュアーデは「いったい、いくつの言語が御出来になるのですか」と聞かれて「さぁ、数えたことないし」とサラッとお答えになっていらっしゃいましたね。プラーツも多言語に堪能で、だいたい できる、というレヴェルが、日本語なら万葉集読むようなレヴェルですもんね。桁外れな方っていらっしゃるものですね。

 ともあれ、私の計画性も何にもない読書生活の中でたまたま出会ったお二人なので、まだまだ私の全く知らないアフリカの賢者や南米の智者が綺羅星のごとくいらっしゃることでしょう。人間って結構すごいね。オリンピック選手もすごいけど、知性の怪物たちもすごい。

プラーツは、ざっくり云うと、文学美術評論家ですかしらね。簡単に言い切れない存在ではありますが。この本「官能の庭」副題マニエリスム・エンブレム・バロックではルネサンスの秋から十七世紀の芸術、バロックの宇宙へと全ヨーロッパの精神世界の展開を夥しい引用や例証の中に浮き上がらせてゆきます。若桑みどり氏その他の方々の渾身の翻訳です。。

若桑みどりの文章は大好きでご著書をいつも楽しみにしていたのですが、惜しくも早逝されました。ああ、「美しきもの見し人ははや死の手にぞ渡されつ」