やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

亀軍団

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亀さん箸置き

染付のまずは線描。かわいたところでダミ(濃いところ薄いところと塗り埋める)をします。右側の黒く見えるのがその状態です。

 その上に釉薬をかけて本焼きをすると、その下の青い色の亀になります。焼かれて一回り小さくなるんです。動物を作るのは楽しい。

 

 かたつむり舞ひ亀は鳴き人はやむ  おるか

「亀鳴く」は晩春の季語です。私はその鳴き声を聞いたことないですけど。

 

勿論、植物も好きです。

写真、上の花菖蒲の箸置きは五月の節句にまにあうかどうか、あやしくなってきました。 

見えにくいかと存じますが、三枚の板を結わえたような生地になっています。八つ橋に見立てて。染付の後、色絵を加えてみようとおもっています。

 

切っ先に天のかしぐも花菖蒲  おるか

白い花のころ 山芍薬、一輪草

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芍薬

 

日本原産の野趣と気品を併せ持った芍薬。薄紙のような透き通った白は三日と持ちません。写真のように完全に開いてしまえば明日には散ってしまうことでしょう。儚い。

  木漏れ日に閉ずるさ知らず山芍薬  おるか

 

 

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白花延齢草

この花もなかなか増えてくれません。山芍薬の白は透き通るような色のない色.素という字の表す白ですが、こちらはもう少し手ごたえのある白ですね。

ヴィクトリアンカラーのような、柔らかに広がる葉がすてき。

 

 

一輪草

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端正な姿です。

 

一輪草剪る夢を見し剪りてあり  おるか

 

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風鐸草ホウチャクソウを活けてみました

ナルコユリとよく似ていますが、草の姿に、嫋やかなところがあって活けやすい。さすが鳴子と風鐸のちがい…なのか。

新緑の山の色、足元には星のように、白い花々。美しい季節です。

赤絵金彩、廃園の薔薇

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久々に、赤に金彩で描いてみました。お寿司屋さんの湯飲みのような大きなお湯呑みとと小さな杯。模様は薔薇なんです。

九谷焼美術館の金際の間においてある作品もそうですが金彩はキッチリ丁寧なものが多いですね。高価な材料なので、大事に大事に使いたい気持ちは、わかる。

明治の職人のような超絶技巧は、もちろん凄いな、と思います。でも、個人的な好みですが、私は精緻を極めた作品より、どこか、荒さを残したものの方が、風情がある、とかんじるんです。

いわば、左右対称にきれいに刈り込まれたフランス式庭園より、自然な雰囲気のイギリス式庭園。そこをもう少し推し進めて、完璧に手入れの行き届いたお庭より、廃園の美。という感じ。

教科書通りにきちんと剪定されて咲き誇る薔薇は勿論美しいけど、廃園の残んの薔薇は、よりロマンチックでは?

と、いうわけで、落暉の照らし出す廃園の薔薇。

クリムト・ヴィラの名残の薔薇を見たときから一度描いてみたかったんですよねー。

金子光晴のさくひんでも「老薔薇園」が一番好き。ちょっと病んでるかなー。でも、完璧な健康なんてロートレアモン伯爵にお任せしておけばよろしいのかもね。

筍ご飯

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これでもかとばかり筍の入った筍御飯。

京都の料亭八百忠さんからいただいた筍。さすがに「えぐみって何のことかしら?」とでも言いそうな貴婦人のごとき筍でした。

贅沢にタケノコ三昧のランチ。

さりながら竹の子御飯というよりは。竹の子に御飯がまぶしてあるような状態は、さすがにやりすぎたかな、と反省しております。

先だっての「桜の器」の時は、御飯茶碗は使っていませんでしたね。外側は波に散る桜の図柄です。

  出自佳き筍を炊く煙雨かな  おるか

 

 

四月の俳画 新じゃが

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新じゃが

新じゃがって芽を出す力が強いんですってね。使い残した小さなジャガイモ、見事に芽を出していました。台所の片隅で、密かにたぎらせるものがあったご様子です。

句は

おほ寺の庫裡に音なくくれかぬる  おるか

 

絵を描いてから考えるものですから、いつも、付きすぎになってしまいますね。反省してるつもりなんだけど。

しずかな庫裡で、新じゃがが角、ではなくて、芽をつきあわせて密談している図。

四月のテーブル 桜の器

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青い桜

メインデイッシュは白アスパラガスです。フランスから空輸で加賀に届いたところ。

半熟卵をトロ~っとかけるのが美味しいんだけど、他の料理してたら普通のゆで卵になってしまったので、急遽タルタルソースにしました。

器は手付き鉢なんですが、写真ではなんだかわかりにくいですね。枝垂れ桜の模様です。

花びら形豆皿にはそれぞれ、しょうがの酢漬け、胡瓜の酢の物、塩昆布など。

左側の小鉢は塩鮭と牛蒡の明太子和え。染付桜川小菓子鉢に菜花と筍の煮もの。桜色の生麩を彩にしてみました。

変形の大鉢は花筏の模様。奥の大鉢は窯の入り口にぎりぎりいっぱいなので、うちで焼ける最大の大きさの鉢ってことになりますね。釉薬に灰を多く入れているのでやや青みがかった発色でトロっとした感じがしますでしょう?ちょっと侘びた風情にしてみたかったので。

 右側のぐい吞みも牡丹の灰を混ぜたので、よく見ると細かい鉄分の飛んでいます。灰のもとになる植物によって含有されている成分にそれぞれ違いがあるので、焼き上がりに微妙な違いが出て面白いものです。

ただ、この上に上絵を焼き付ける都合もありますので、あまり極端なこともできません。収縮率のわずかな違いで、色絵の具が縮れたり、ひどい時には流れ落ちたりしてしまいます。

染付だけの時は、灰を変えたり、黄土を塗ったり、敢えて汚してみます。

何故わざわざそんなことをするのかって?

んー、その方が風情があると思うからです。器にありたきは、風情です!よね?

染付の青い桜。器の中の非時(ときじく)の花に午後の日が傾く。

 

 また逢ひませう水底の葉桜に   おるか

 

 

汚れちまった悲しみに

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あの純白の花弁が、いまや、…。

しかし、美しいままでいてくれというのは残酷な願いです。

この世にあれば汚れるのも、また一興。

 

汚れつちまった悲しみに

今日も小雪の降りかかる  

汚れっちまった悲しみに

今日も風さえ吹きすぎる    中原中也

 

 中也も、その悲しみを、まるで自分の子供のようにそっと抱きしめてやっていますよね。

散りまがう辛夷の花は雪よりずッと大きくて、撃たれた白鳥の羽毛のよう。

風の吹きすぎるたび、何処へか消えてゆく。

汚れてそして地に吸われ、またいつの日か会うのでしょう。

正法眼蔵にもありました。「花は愛惜に散り云々」

全ては、うつろうと知ってはいても、悟りに縁遠い私には花の散る悲しみは年々新たです。庭の桜の元気がないのもじゅみょうかな。

  老幹に腐臭の甘き紅枝垂れ  おるか