やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

善悪の彼岸、イブキジャコウソウ

 小さくてかわいらしい伊吹ジャコウソウ。庭は湿気が多いので、鉢にとって育てています。独特の香りに、麝香の名前がついていますが、ムスクとはちがうような。かといってグリーン系ともフローラル系ともつかない、ほの暗さのある香りです。

 嗅覚の鋭い調香師のような方は、良い香りだけでなく、いわゆる悪臭もかぎ分けられなくてはならないとききました。ムスクやアンバーなどはそのままだと素人にはむしろ悪臭と感じられるけれど用い方によって銘香がうまれる。

 絶対音感のある方の聞いている世界が私のような凡人には理解できないように、嗅覚の世界も本当に鋭い鼻にとっては、さまざまの要素や思いの行き交う場なのでしょう。常識的な良い香りや悪臭と一概に弁別できないその場所は、いわば善悪の彼岸!?

 不思議な香りの伊吹ジャコウソウは、善悪の彼岸に咲く花か!ともあれ、私はこの小さな花が好きです。

 滋賀県伊吹山に自生していたので、『伊吹』の名を冠しているんですってね。伊吹山と言えば思い出すのは、

  木枕の垢や伊吹に残る雪  丈草 

 

良い句ですね。これほどきれいな木枕の垢はない、と誰かが書いていらっしゃいましたが全くその通りです。

 伊吹山や白山など信仰の山は、大切にされてきたおかげで珍しい植物も多く残っていて、イブキ○○、白山○○という名前の花々、たくさんありますものね。白山チドリなど、良い花ですよね。育てられる自信はないので憧れているだけですが。

 久しぶりに香でも聞いてみましょうか。夜になってやや雨気が感じられるので、すっきり白檀でも。

 菖蒲香はずして風の伊吹山  おるか

丈草の旧居あたりでお香の会などしてみたい。

 

 

焼き上がりました。

赤絵唐子遊びの小皿やきあがりました。萌黄色になってますでしょ。

その向こうは、虎の子四方豆皿と同じ形のウサギの豆皿。

ウサギさんは「月見て跳ねる」イメージで薄青い色にしたのですが、赤いウサギでも、元気そうでよいかな…と考えてみたりしています。虎の子もウサギもみんな自由にいろいろなことをしています。

その向こう蔓薔薇のカップ&ソーサー。明るく仕上がったので、うれしい。

こういう、取っ手のついたものはどうしてもゆがみます。が、このところ粘土の性質から、はなはだしくゆがんで、とても売り物にならない状態がつづいていました。もちろんこちらも対応策をあれこれ試みるんですが、なかなかうまくいきません。

それで今回は、禁じ手というか秘策というか企業秘密な手を使いました。やたらに手間がかかるうえに、今回はたまたまうまくいったけど必ずうまくいくとも限らない。

正攻法の粘土の調整ももちろん続けていますが。ずいぶん長くお待ちいただいているものもあるので、悩みは尽きません。分厚く作ればいいのですが、自分の気に入らない形のものを作ったところで意味がないので。

庭に白いバラが咲いています。五月の薔薇、美しいな。

 

戦火続く地上に揺れて五月の薔薇  おるか

 

 

 

 

 

赤絵の小皿を描きました。

赤絵唐子遊び絵替わり小皿

小皿の中で元気に遊ぶ唐子たち。もともとは、お正月遊び、凧揚げとか独楽回しなどなどを描いていたのですけれど、このところ、一つ一つ違う遊びを描いています。

焼いていないところの写真です。小鳥などの白っぽく見える絵の具は窯から上がると明るい緑色になります。

遊びも、そろそろ種が尽きてきました。真ん中の小鳥に話しかけている唐子は遊んでいると言えるのかな?題名をつけるとしたら「あのね」とか…。

 その上の蓮の葉を傘にして走る子を蛙が見てるのは「雨降り」。となりのお手玉してるのは「天才」。天才ジャグラーです。

唐子遊びを描いていると楽しい。

 

 木の芽雨絵の具を磨りて日が暮れて  おるか

日暮れて道遠しですねー。

原材料や燃料費が高騰して、こういう小さなものを作っていては、利益はほぼないんですけど、楽しいから、ま、良いか、とおもっています。

世の中には百万円しかもらってないと不満たらたらな方もいらっしゃるようですが。

政治家はお金のためでなく、世のため人のために働こうと思っているのだとばかり信じていた私はとんだ甘ちゃんだったようです。

 

 

緑の中でお茶

古九谷美術館のテラスにて

用事で近くまで行ったので、古九谷美術館のテラスでお茶にしました。

公園の緑が怖いほど鮮やかです。今月のお茶「西湖龍井茶」をいただきました。豆皿は、ずいぶん昔作ったものですが、大切にしていただいているようでうれしい。

お盆の向こうの植木鉢も私の作ったものです。蔓性の羊歯の新芽がかわいい。カニ草というこの羊歯は日本唯一のつる性羊歯だそうで、そろそろレッド・データ入りとうわさされていますが、我が家の周りではけっこうはびこっています。

雨になりそうな空。雨の緑は圧倒的に美しいですね。西湖のあたりも今は緑なのでしょう。

 草団子廬山の雨を見にゆかな  おるか

 

廬山の煙雨浙江の潮

未だ至らざれば千般恨み消せず

至りえて帰り来れば別事なし

廬山の煙雨浙江の潮

 

蘇東坡の詩とされています。美しいと有名な廬山の煙雨、浙江の潮、まだ見ていないときはうらやましいほどたまらなかった。そこに至ってみれば、驚くでもなく心は静かだ。

廬山の煙雨、浙江の潮、と、最後にもう一度繰り返すときの味が、なんともいえませんね。

西湖の詩もいろいろあります。東坡居士の書を臨書したことがあるので蘇堤もみにゆきたいなー。そして、帰り来れば別時なし、と言ってみたい。

 

 

五月の俳画

五月の俳画

粽のひもが気になる猫さん

 

こちらで、すでに載せた句ですが

 

命惜しめと粽結ふ紐ながく   おるか

 

粽のひもはイグサなんだそうですね。長いです。生い先が短くなってくると長さが気になるのでしょうか。

年越しそばなども長くあれかし、という思いが込められてるのだそうですね。邪を祓う緑濃い粽の生命力を結び付けてくれるイグサ。猫さんが喜んで遊んでぶちぶちに切ってくれそうです。

若楓

ろくろ場の前の若楓。

楓の新緑は、紅葉の時に劣らず美しいものですね。明るい緑はまさに萌黄色。

 

若楓雨宝童子も外に遊べ  おるか

 

ずいぶん昔、長谷寺にお参りした時の句です。ふりみふらずみのお天気で緑がひとしお鮮やかでした。

それにしても雨宝童子さまって天照大神の化現であらせられたんですね。子ども扱いして恐れ多い事でございました。

両部神道では大日如来様と同一とか。ひえ~、土下座もんですね。

この季節はつい草むしりを始めちゃったりすると止まらなくて仕事に差しつかえるので困ります。緑って素晴らしい色ですね。

 

若楓夢に緑の卵割る  おるか

 

大きなたまごでした。トリケラトプスの卵だったのかも。

粽たべたべ

五月五日も午後となり

金沢の近くの町松任の粽をいただきました。

笹の香りとほのかな甘さ。味よりこの笹の葉の見事な梱包を目で食べました。

今日は子供の日。世界中の子供たちの幸せを祈りたい。

それにつけても、あのマリオポリの製鉄所の地下に避難していた小さな男の子が「生き残って家に帰りたい」って言っていたのが忘れられません。代わりに死ねるものなら、死にたいと思いました。避難できたのかな、あの子。

 命惜しむと粽結う紐長し  おるか