やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

読書の季節

ようやく涼しくなって、仕事の前にちょっと、読書などする気分になりました。

毎年秋になるとボードレール読むのは、我ながら付き過ぎな感じで、恥ずかしいけど、毎年同じことをしていると、去年は、こうだった、十年前はああだった、とそれなりに思い出が積み重なって郷愁をかんじます。もう、年中行事みたいなものですね。

いままで、あまり目を通してこなかった傍系というか、正式に発表されなかった詩篇などちょっと読んでみました。「滑稽な詩」という言葉遊びみたいなものは、ひょっとしてランボーの有名な「母音」に影響を与えたのじゃないかしら、なんて思いました。

開いたページの「異邦人」という詩は好きですね。

「あなたは何が好きなの、謎めいた人よ」とたずねられた人物は、家族か、祖国、美、、黄金、etcの質問に、「木で鼻をくくった」とはこういうことかというような返事を次々に返して、それもちょっと面白いけど、最後に「それではいったい何が好きなの、別格の異邦人さん」と、聞かれて答えます。

 

「雲が好きなんだ…通り過ぎる雲が…ほら、ほら、あの素晴らしい雲!」

 

良い答えですね!私も雲が好き。だから、空から降ってくる枯葉も好きです。

ボードレールの異邦人氏の祖国は地上のものではないんですね。

やられた!

蜥蜴に馬乗りされた鳥さん。オドロキの表情ですね!

染付の鳥は、水滴として作ったのですが、どうにも水切れが悪くて。それでオーナメントとして飛び石の上に置いていたら、こんなことに!

蜥蜴も、何のつもりで乗ったんでしょうね。たまたま通りがかっただけなんでしょうか。

秋雨のどこかに椿事ありぬべし   おるか

 

これは俳句になってませんね。昔作った句をついでに載せておきます。

 

秋雨や掌に柔らかき鯉の唇  おるか

 

手から餌を食べさせてたんです。手乗り鯉にしてみたかったんですけど。唇は「口」と読んでやってください。

松茸到来

松茸到来!まだまだ走りの季節に、こんな立派な松茸いただいちゃった。ひさしぶりです。

ネコさんたちもみんなオドロキ顔で見守っています。

お皿も格調高く(!?)青手写し、レリーフ入り。

どう調理しましょう。まず松茸御飯にお吸い物、贅沢に焼いて酢橘を絞ってみましょうか。ワクワク。

 カメラを近づける間にも、松茸の香り。私の趣味からすると、それほど良い香りというものでもないと思いますけど。悪臭というわけではない。そんなきわどいところに踏み込みそうなあやうさが、魅力なのでしょうね。

 河豚の好きな方が、「舌にちょっとピリッと来るようなところがうまい」などとおっしゃいますが、そんな風に、死に至る毒と遊んでみる気分が、河豚をよりおいしくさせるのでしょう。マツタケも、このちょっと微妙な香りに大枚を祓う気分が美味しいのかも。

ああ、食感はいいですよね。味もいい。土瓶はないけど蓋物で代用できるでしょう。

今宵は、細い新月ですね。見られるかどうかわからない月を待ちながら、一人宴といたしましょう。

 

赤絵をだしました

気温はまだまだ高めですが、どことなく空の気配に秋めいたものが感じられる気がします。

いつの間にか蝉は鳴きおさめて、虫の声に取って代わっています。

 

 菊の花模様の片口に、盛っているのは、サツマイモの茎の炊いたの、です。

採りたててそれらしい風味があるわけでもありませんが、癖もなく、蕗よりやわらかく、食べやすい。里山の味ってとこですね。

穂紫蘇を添えてみましたが、辛子酢味噌も似合いそう。どんな味付けでも行けそうです。

ネコさんのティー・スプーンに胡麻胡麻和えも、おいしそう。

この夏の暑さにはまいりましたが、どうやら食欲も回復してきたみたいです。

夏枯れでサバンナみたいだった庭の花もちゃんと咲きました。秋海棠、あかのまま、垣通し、けなげなものです。写真では切れちゃいましたけど。草の花、みな可憐ですね。

 

草の花浮くにはたづみ雲も浮く  おるか

 

これ、何かしら?

実物は1センチくらいです。卵みたい?のっているのは、窯の中で、棚板の高さの調整をする道具です。とても硬く、高温に強い石みたいなもので、普段は重ねておいてあるんですが、くっついています。何かしら?

知ってる?蛙さん

無視してるけど、小さな影を敷いているのが、かわいい。

カマキリさんも。

昆虫の卵かな、とはおもいますけど。

 

夏の間あまりにも暑くてずっと更新できずにいましたが、なにくれとない山里のあれこれを書いていきたいと思っております。

夏の色

夏の色と言って思い浮かべる色は人それぞれでしょうけれど、私は柘榴の花の色。このきつい朱色です。緑陰に目を射るばかりの けざやかさが、いっそ涼しい。

陰陽五行では夏の色は赤、火の色ですものね。

詩経に「七月流火」とある「流火」は夜空に暗く輝く蠍座のアンタレスのこと。その色も赤い。

朱色は他にも、花なら姫檜扇水仙の朱色

嫌いじゃないけれど増えすぎて困る花。姫檜扇水仙ヒメヒオウギズイセン(長い。)

 

 まだ咲いていませんが、甘草の花も哀しいほど朱い。萱草の花は夕暮れがたにやや闌れたのが、良い、なんて思うのは立原道造のせいですかしらね。「夢はいつもかへつて行つた 山の麓のさびしい村に」ああ、…。

とはいうものの、萱草は減ってしまったんです。春に顔を出したばかりの萱草の芽があまりにもおいしいので、つい食べちゃうので。人の食欲は雑草にも勝つ!

 

 花柘榴はその名のとおり実はなりませんが、柘榴の実は文様になって世界中に広まっています。殊に15,16世紀のヨーロッパの、ダマスク織の中の柘榴文様の豪華さには、目を奪われます。中東文化への憧れを思わせます。それ以降も、オリエンタリズムが流行ると柘榴文様は必ず、さまざまに変形しながら現れます。

東洋では鬼子母神の話が有名ですが、彼女も又、おそらくオリエント由来の太地母神の系統でしょうね。キリスト教ギリシャの神々もそれ以前のもっと古い神々もみんな悪魔として地獄に投げ落としましたが、仏陀は「話せばわかる」というご対応だったようですね。

朱色の花から話が大分飛んでしまいました。柘榴って棘が痛いですよね。

 

  我を刺す棘瑞々し花柘榴  おるか

朝顔咲きました

 昨日今日と晴れて暑い日が続いています。今朝方はやや曇ってどんよりしていましたが、少し風があって助かりました。

梅雨の初めの重苦しい黒南風(くろはえ)ではなく、あかるい白南風(白は絵)の、妹みたいな軽やかな風でした。梅雨も、終わるのでしょう。

 朝顔も咲き始めました。

一時、若冲の絵にあるような、白に紺が刷毛で刷いたように飛んでいる朝顔が欲しくて探したことがありました。自分で作出するには寿命が足りないでしょうから、あきらめましたけど。

写真の花は白と青が普通とは逆転していて、多少面白くもありますが、風情には欠けるような気もします。

江戸時代の趣味人はよほど ひまだったとみえて、さまざまなものに凝りまくったようですが、おかげで花菖蒲やサツキ、万年青、桜などなど多様な品種が生まれました。当時の朝顔市にはどんな凝った花が並んでいたことでしょう。想像するだけでワクワクします。

それでも元禄時代以降の奇品の世界は、趣味が昂じて危なくなってきますね。

まずそれまでの庭植えから鉢植が主流となります。当然コレクションもしやすくなりますし、日本人ならではの微に入り細をうがった、葉芸やら鉢、盆へのこだわり等々には、すさまじいものがあります。玩物喪志も病膏肓に入るって感じ。

ヨーロッパのチューリップ・フィーバーは有名ですが、江戸時代の奇品フィーバーは、葉の斑入りとか覆輪とか、見た目が地味なところが、恐ろしく通好みなんですね。

人間て奇妙な生き物ですね。

 

朝顔や廃屋毀つ響きして  るか