梅雨の晴れ間の山中温泉芭蕉の館
歌仙御代の春の巻 名残の表後半です。
先月は
七句 踊り子の時に寂しき顔をして 西
の句で終わっています。盆踊りの踊り子で、秋の句です。さて、付けは
俄に増えるうすばかげろう 梶
盆踊りは亡き人も交じって踊るもの。その一抹の哀感をとらえて、かげろうという儚いものの動きをみせた。渋い付け。
次は月の句とお願いしました。
文机の灯りを消して月迎う 正藤
名残に入ってから、これまでずっと旅に出ていた人が、ようやく家に戻って座り慣れた机に向かっている。静かに明かりを消せば月光が入ってくる。美しい月の句。文人風、結城紬かなんかお召しになってる雰囲気。
秋もう一句お願いしました。
色なき風に深呼吸して 佐藤
ははは、面白い。色なき風は秋の風の事。秋の色は白なんですね。春は青春なんて熟語になってますが青。芭蕉の名吟
石山の石より白し秋の風 はせを
もそれを踏まえています。白は色と考えられていなかったので、色なき風という表現もあるわけです。
そういう古式ゆかしい「色なき風」を深呼吸しちゃうという発想がすばらしい。
女どち寄ればこれからさきのこと 中江
ははぁ、深呼吸かと思いきや、ため息であったか。あーこれからさきのことおもえば長嘆息ですね。2000万円ですかハァーッ!?ですよね。
鉛筆立てて倒れた方へ 佐藤
先のことなど考えても仕方ない。鉛筆に行く方向を決めてもらうように流れに任せるしかないのかもしれません。
まぁ、散歩のゆく先は鉛筆に任せても良いけれど、選挙とかあるなら、政策で決めましょうね。ハハハ。
さて名残の表もこれでおしまい。来月は名残の裏。いよいよ大団円です。