yようやく秋めいてまいりました。うららかな青空の広がる山中温泉芭蕉の館、十月の連句会です。
蛍火の巻もはや名残にはいりました。
先月は花の定座
橋三つ巡りて花の人となる 梶
という名吟を得まして、
茶摘みの唄を明日につなげる 西
という名残へ思いをつなぐ運びとなっておりました。
sate,今回はどんな句に出会えることでしょう。わくわく。
名残 裏
俳聖の碑文をなぞる俄雨 正藤
芭蕉翁の句碑は各地にありますね。ここ山中温泉にももちろんあります。俄雨の中、句碑の前に佇む思いには深いものがあります。
名残の裏ということもあり、やや地味な落ち着いた雰囲気の句をえらんでみました。
前句が茶積み唄でしたから、この句碑は宇治とか伊賀上野の近くとかかなーというきがします。
二句目 地震続きて石垣崩れ 西
しっとりした雰囲気で始まったかと思ったら、俄雨転じて土石流ですか!
無季の句はこのくらいにして、つぎは夏の句おねがいしましょう。
三句目 フランスパンかじり巴里祭偲びをり 梶
前句を大きく転じて、と、言うか まったく気にせずと、いうか。
まぁ災害で石垣が崩れることはヨーロッパでもありますし。
作者はこのフランスパンは,地震の際の避難所でだされたので、災害にあいながらも巴里祭を思って齧ったのである、とおっしゃっていましたが、そんな風に読み解ける人っていますかね?
四句目 何を言いたや揺れる夏草 平井
夏の短句。夏草が揺れるのは、なにか言いたいことがあるのだろう、と思うその感性が詩的です。
この句の「や」は切れ字というより「なにを言いたいのかね?」と呼びかけるような、いわば中世歌謡的な言葉遣いという感じがします。
夏の句は二句くらいにしてまた、無季の句をお願いしました。これまで,旅有り恋あり、だったので、何か別の趣向のほしいところ。
五句目 病室に遺書はないかと探したが 西
連句はおよそこの世の物事全てを言いつくすものといわれます。生老病死、もちろん必要です。
次の句は修羅場が予想されますね。
六句目 母のへそくりこんなにあった 梶
面白い!他に、いかにもの修羅場の句あり、「おじいさんは星になったんだよ」ときれいにまとめるのもあり、でしたが、
これ最高。リアルで、かつ、面白うて,やがて哀しくもあり。
今回の連句会は、ちょっと雰囲気が違っておもしろかったですね。