急に涼しくなって、芭蕉の館の玄関前のシュウメイギクも、満開を過ぎてしまいました。
さて先月は名残の裏の一句目まででした。
名残の裏
四畳半まあるく掃いて春ゆかす 佐藤
さて、春も三句ほど続きましたので無季で付けていただこうと思います。
二句目 まだ捨てかねし本をかさねて 正藤
前句の春愁の気分を受けて、やや物憂いような逡巡の心持ち。前句の多少こだわらない生活態度に加えて堆い本に囲まれた人物はやや隠者めいた文人墨客風の人物かしら、というかんじがします。
しかし、名残の裏は十一句目ごろの月の定座のほかは特に決まりのないところなので、ちょっと暴れてほしいところです。
三句目 乾山の碗に一服もる相手 橋本
なんと殺人事件です!どんな付けが来るかお手並み拝見!
四句目 鏡に写る顔のけわしき 佐藤
御投句の中には、時代劇あり、歌舞伎の場面に見立てたものあり様々面白い句があったのですが、なかでこの内面の描写ふうのやや地味めな一句をいただきました。
四句目 隠沼に仲間のおらぬ蟇 西
こもり沼(ぬ)は目立たないだけにいっそう神秘的でもあり陰気でもあり、秘密めいた雰囲気です。仲間のいないヒキガエルの孤独もさぞや、でしょうね。そうとう、けわしい顔をしたヒキガエルでしょう。
五句目 近づくほどに滝音たかし 梶
あ~、いまきがついてしまったけれど「滝」って夏の季語だったかな。あららどうしよう。来月相談しないと。