歌仙もいよいよ名残の裏へはいります。
さて、先月は冬の句
十一句 咳けばショウウィンドウに己が影 梶
十二句 毛皮羽織れば街の華やぐ 西
という展開でした。
名残裏一句
犬に服着せて散歩の老夫婦 中江
をいただきました。前句では人間が毛皮を羽織ったのですが、こんどは犬が服を着る、というユーモラスな展開。
二句目 手押し信号押すのを忘れ 佐藤
街の景色が続きますが、信号を押し忘れるところに、どこか春が遠くない気配が漂います。
三句め 川底の小鮒に届く春日射し 正藤
春になりました。日差しに明るむ水底の春。小学唱歌(?)泥鰌っこ鮒っこみたい。
四句目 耳をすませば初音かすかに 正藤
早春の川辺に来た人物は川音のなかに、鴬の初音を聞き取ったのですね。美しいながれです。
さて、つぎはいよいよ花の句です。
実はこの「雪吊の巻」の発句をいただいた岸本葉子氏から、花の句を御投句いただいたのです。
この場への挨拶の込められた句を始め、、どんな流れにでも対応可能なようにとのお気遣いもあたたかに、七句も頂戴して、とてもうれしく有難いことでした。
そのなかで連中全員一致で選びましたのがこの句です。
花の定座 白壁にふるるばかりに花の枝 岸本
ふるるばかりだけれど触れてはいない壁の白さ。触れたら途端にこわれてしまうだろう花のあやうい脆さと美しさ。作者の繊細さの表れた一句です。
さて揚句、うう
園丁の背に暮れかぬる春 橋本
なんか煮え切らない揚句ですみません。
さて、時間があったので、じかいのかせんの発句まで、もう考えちゃいました。
七月の歌仙「蛍の巻」
発句 蛍火の一つ灯りて二つ消ゆ 正藤
上手い。上手すぎる。
付けを考えるのにプレッシャーかかりそう。