やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

歌仙「御代の春」の巻

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山中温泉は文字通り山の中。例年は雪も多いところですが、それでも春が近く感じられる暖かな火曜日、あらたな歌仙が始まりました。平成という時代ももうすぐ終わりというところで発句は


平成が畳まれてゆく御代の春  正藤



『御代の春」がやや大時代な感じもいたしますが、まぁ改元もいよいよ近づいたことでもありますし、役者が見えを切ったような、ちょいと大げさなのも、にぎにぎしい始まりですね。


  床に一輪ひらく白梅  橋本


ぐっとひかえめな脇。ちょうど床に活けてあった枝の先の蕾が白かったので「白梅」と思ったのですが、後でよく見たら桜でした。
畳と床って何となく近いし。


夕東風の絵馬を鳴らして通り過ぎ  中江



良い句ですね。初案は「通りけり」でした。が、連句のながれのなかで「けり」だと完結してしまうので「過ぎ」かえていただきました。俳句としては初案の方が良いと思います。



 スカートゆする又ネきっとネ  梶


夕東風の通り過ぎるその先。帰り道にお母様のスカート(多分)をキュッと握って一所懸命お約束する小さな子。子供にとって、お母様との約束は世界との約束です。切実さがいじらしい



閉店の老舗を照らす盆の月  正藤


発句の方が月も取っちゃいましたね。月の定座は盆の月。立派な老舗の鎖された扉を月だけが訪れる。前句の子供の約束も果たされなかったような感じがしますね。


 時代まつりの笛の音かすか   梶


前句の光景を京都の路地の老舗の景と見て、人気のない通りにもかすかに聞こえてくる祭笛の音を聞く。一抹の哀感あり。落ち着いた運びです。

さて、歌仙も慣れてきて初折表が終わりました。来月は裏に入って旅でも恋でもいたしましょう。

 写真は山中温泉のフォト五七五の選句のお写真。山中温泉の様々な絶景を写した写真にそえて一句を投句。一等賞はご自分の俳句をその写真に印刷した絵葉書にしてもらえるんです。ご覧のように、写真がとってもきれいなんです。