やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

青梅雨の巻 名残の表

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十月の連句会、当日は北陸には珍しいさわやかな晴天で、連中の中には,好天を満喫すべくゴルフにお出かけの方などもいらして,人少なでした。こういうのも、親密な感じで、また一興です。

 床の間に「奥の細道」の山中温泉での芭蕉の句の掛物と、この季節に柔らかな緑を見せる羊歯「ふゆのはなわらび」の鉢。
ゆのはなわらびは好きなんです。うちのの庭のにも二,三株あって大事にしていたんですがこのところ元気がなくて。こちらの鉢はすこやかだなぁ。

 さて、先月は名残の表六句目夏の短句まででした。

六句 近づくほどに瀧音たかし  梶

七句目は無季の長句をおねがいしました。無季で五七五って案外難しいんですよ。いつも、いかに季語に寄り掛かって作句しているか認識させられます。

第七句  どうにかなるみたらし団子ほうばりて  佐藤


前句の滝までの道をたどる人物は、なにか心に思うことがあって一人散策している、とみたてたのでしょう。滝まで来て,滝見茶屋で御団子を食べて一服し、「どうにかなるさ!」と気持ちをきりかえたのですね。


第八句   口紅を拭きじゃさようなら  ひろみ


おお!気持ちを切り替えた途端に「じゃさようなら」ですか!恋の悩みだったのでしょうか。みたらし団子のたれと口紅を一気に拭いて、あらたな一歩をふみだすらしい。


第九句 ヘリで行く砂漠の端の新天地  西


おおおお!一歩を踏み出すどころか、砂漠までいってしまいました。気持ちを切り替えて新たな出発とはいえすごい!つぎは、冬の句をお願いしました。
十一句目が月の座なので、これまで秋の月ばかりでしたのでたまに他の季節の月も眺めたくて。


第十句   モスクの屋根に除夜の鐘聞く  西




砂漠の国の冬でしょうか、いやいや日本のどこかかもしれません。絶妙の寒の月の呼び出しです。


第十一句   廃港の波にまかせて寒の月  

打ち捨てられた廃港。。廃墟というもの、私は好きですし美しいと思いますが、廃港となるとかなり寂しい。軍艦島でしょうか。しかも寒さも極まった寒の夜。波のなかに千々に砕ける月の影。透徹の句の姿ですが、寒いさびしい!

第十二句  ドラムの音も悲しく重く


廃港の岸壁を叩きやまない波音をドラムの音に展開したところ余韻が深く感じられますが…六句目瀧音でしたね。うーんちょっと近かったかな。
ともあれ、もう名残の表も終わり、来月は、名残の裏にはいります。
もう来月で満尾しそうないきおいですね。