初夏に始まった連句の会ももう十月。今日は初裏六句めからです。
私が勘違いしてしまって、申し訳なかったんですが、先月の
初霰踏みし仕草も幼めき 紺屋
の句に続けてもう一つ冬の短句をおねがいしました。今回はあらたにご参加くださった方もいらして句数も多く選ばせていただくのが一苦労でした。前句の童心の世界をうつして
ミケも喜ぶ炬燵を出して 上出
をいただきました。ふふ、カワイイ。
七句めは無季の長句です。無季で五七五ってかえってけっこう難しいものです。
夜もすがら遺愛の軸を掛替へし 笹次
ここらあたりで、これまでの流れになかった神祇釈経とか、または無常観とかの欲しいところでした。
また、八句目は月の定座ですから「夜もすがら」の語には秋の夜長を思わせる気配もありますし絶妙の流れだとおもいました。
遺愛の軸はいくつかあったのでしょうね。何かの会のためにそれらの軸を出して、掛けて見てはかつての人のあんなことこんなことが思い出される。思いの深い句ですね。
さて、八句め「月の定座」は
満つる月影雲間に隠れ 松浦
をいただきました。「満」は「盈」でも良いかなと思いましたが、作者の意は満月なのでしょうね。日本語の時制のあやうさで、すでに満ちているのか、満ちていっている現在進行形なのかはっきりしないきらいがありますから「満」のほうが満月になっていると考えやすいかもしれません。
煌々たる月光が不意に雲に隠されてしまった情景は、自然詠ですが、前句の掛け軸の持ち主の長逝を連想させる趣もあってあじわいがあるとおもいました。
さて来月は九句めから、いよいよ初裏も終りに差し掛かり「花の定座」が近づいてきます。