雪の降り積もる中、連句の会に七人の連中が集いました。
去年から引き続いて初折の裏五句目からです。これまでの流れからもちょうどよいので。新年の長句をお願いしました。
三幅に朝日の届く御慶かな 笹次
新年にふさわしい、そして折からおめでたいしつらいをしてくださった、芭蕉の館のこの場への挨拶も込められた即吟です。
実に見事です。
さて続く六句めは、
吐く息白し少年剣士 梶
前句の格調を踏まえて、寒げいこ、初稽古でしょうか、りりしい中にもかわいらしい少年の佇まい。
次ももう一句、無季の句をつづけます。展開の欲しいところです。
気に入りのスカーフ風になびかせて 中井
どこかへ出かけるところでしょうか。生き生きとして重くれない旅への誘いですね。
颯爽、とドライヴかバイクでツーリングかな、とおもったら
暖簾潜りて師の母に会ふ 正藤
渋い付けです。意外性があります。小説の一コマのよう。
次の句は、春、そして月をいれた長句をおねがいしました。季語が入って五七五ですから皆さんお手の物で名吟が目白押しでしたが、
この路地を曲りてもなほ春の月 佐藤
を選ばせていただきました。お月様がどこまでもついてくるのが不思議だった子供のころの気分を思い出させてくれます。
春の夜の何かに化かされそうに美しい月光の路地。むしろ化かされてみたい気分とドキドキがある一句だとおもいました。
さて来月は春の短句のあといよいよ花の定座がきます。
どんな展開になるか楽しみです。
連句はその場で前の句に漬けなければならないのであらかじめ準備することができません。十分かそこらで前句の気分を踏まえ、打越に重ならないよう、即吟しなければなりません。瞬発力が問われます。
それにしても、今回の句座の、二時間ほどの間に集まった句の数は、長短含めて、
なんと!61句
すごいです。