やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

白山チドリ さんざし

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 山姥流活け花。今日は我が狭庭の女王白山チドリです。このところの荒れた天候のせいで傷んでしまったので切りました。急須に入れるとかわいい…。山姥だって可愛いものが嫌いじゃないんです。
 それと果物みたいな色合いの西洋さんざし。
 狭い庭なので、たくさんのはなをそだてることはできません。だから基本的に山野草や日本の花を植えることにしているんですが、さんざしには憧れがあったんです。

 プルーストの「失われた時を求めて」のなかで、さんざしは話者である「私」マルセルの思い出の花なんです。若き日の散歩道に咲いていて、恋人や少女達の面影と重ねては眺めるサンザシの花。
 女友達のアンドレが花の前で佇む話者を「心優しくも」そっとして置いてくれた、したわしい思い出の花。しかし、彼女は「私」の愛した少女アルベルチーヌの愛人でもあったのでした。甘く苦い思い出とないまぜになった山査子の花。こうしてみると愛らしく、野趣のある花ですね。

 大長編小説の楽しみは、ある期間浸って読むおかげで、自分自身の季節の記憶を彩ってくれることも、その一つかもしれません。「失われた時を求めて」は高校時代の春kら夏にかけて毎日(授業時間も含めて)読んだので、今でもこの季節には、まるで自分自身の思い出でもあるかのように描写された風景や作者の苦悩や挫折感までもうかんでくるんです。