庭の春蘭は莟がのぞいたところですが、温かい土地ならきっとそろそろ咲き始めるころでしょう。
水墨画の四大画題のひとつですから、もう、見ないでも描けてしまう。
すっきりして品のある花ですね。句は
陽炎や飛天の貌に筆をたし おるか
自分でも飛天を描くことはありますが、この句は先年京都 真珠庵で句会した折の思い出です。由緒ある塔頭の襖に最先端の絵。
アニメ等には、炎とか水流とかいろいろのアプリがあって便利のようですが、襖に描くときはアナログに筆で表現なさるのだろうな、とおもいました。作者が時々ひょっこりお見えになられて、筆を足したりなさっているのだとか。
不要不急の外出は控えている昨今ですが、歳がゆくと思い出だけはどっさりありますので小出しに使っています。
思い出に押しつぶされそうな日もあります。そんな時、高齢になって記憶があいまいになってゆくのは、思い出すのが辛くて無意識の内に消そうとしているのかもしれないな、と思ったりします。