やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

九月の食卓

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この日暮れ、空一杯の薔薇色の羊の群れが谷の空を流れてゆきました。秋めいてきましたね。

  落葉するこれから水がうまくなる  山頭火

という句の通り、秋の水は美味しいですね。また山水を汲みに行きましょう。夏の間は虫が多くていけませんでしたから。

 写真の正面、菊の葉形向付けに、甘海老。底引き網漁も解禁になりました。これから海も美味くなる。
新しいお椀を並べてみました。菊慈童の碗には栗おこわ、菊竹兎碗に赤米キノコ御飯。
小菊碗に炊合わせ。これは以前つくったものですが、 染付碗に残り物野菜のお味噌汁。内側の模様は雲です。
赤絵菊の片口に、酢の物。
色絵の野菊紋菓子鉢に加賀市名物きんつば。赤絵木の葉の大皿にあふれている酢橘は四国の陶芸家中内さんからいただきました。しばらく酢橘贅沢をしてなんにでも絞っています。
 それにしても秋の七草にはなぜ菊がないのでしょう。野菊は日本の野原の花でも懐かしいものの一つですのに。原産地問題でしょうかしらね。

 菊科の植物は世界中に分布していますから、どの国のどの文明にもよく似た菊の花紋様があります。しかし、光琳菊ほど簡略で可愛いものはありませんね。江戸のデザイン力って、すばらしい。そしてなんといっても菊の香りがいい。菊枕ってしたことありませんが。あの、しんと頭の奥まで静かになるような香りは、良い夢を見せてくれそうです。菊枕作ってみようかな。どのくらい菊がいるのかしら。

 踏みしだく野紺菊色深かりき  おるか

 

                         20210906