加賀市山中町の温泉街を抜け、山道を福井県境へと、九十九折りの道をたどると我谷ダムにでます。左手の山奥への径を辿れば九谷焼発祥の地の九谷、ダムを渡ってを福井県の方へ少し行くと我谷町です。
その地で、昔から作られていたという我谷盆。一枚の板を削り込んだ,鑿跡のデザインが味わい深く飽きません。
作者によって鑿の使い方の違いが、見て取れます。
手前の鯰の乗っている、佃眞吾さんの鑿の跡は、鋭い稜線ながら遊び心もあり、作家性を感じさせます。お若いころの作品です。
奥の蜥蜴ののっている佐竹康宏さんのお盆の鑿跡は、なだらかで柔らかく見えて、絹糸一本ほどの尾根が正確に浮かびます。怖ろしいほどの手練れの技です。しかも我谷盆は栗の木がおおいけれど、これは桐の木を刻んでいますから紙のように軽い。
右のお魚ののっているのは、風谷アトリエ、森口信一さんの作品、その向こうはお弟子さんの作品です。
我谷、九谷、風谷、、とこのあたりは谷とつく地名が多い。風谷アトリエも谷の奥深くで、かなり道も悪そうです。「こんなところに一軒家」というテレビ番組に、取り上げられたとか。(私はテレビあんまり見ないので伝聞ですが)
お盆の間の、染付の蜥蜴の見つめる先の木の実のようなものは、もず工房河村寿昌さんの、えーっと…作品…香合かなぁ。かわいい。
華麗な蒔絵も勿論うつくしいけれど、秋めいて来るとこういう木の暖かさに触れたくなります。
佐竹さんのお盆の向こうの塗りの板。お寿司を乗せたり、お菓子を乗せたり重宝していますが。こちらは、佐竹さんの奥様の在所の神社が、取り壊されることになった折、社の壁板を惜しんで御作りになったものとか。
猪口ほどの仏守る村柿落葉 おるか
わが村の山奥にお堂があって、そこの仏さまは、とても御小さくていらっしゃるの。