やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

青梅雨の巻

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今月から新しい歌仙がはじまりました。

木々の緑も目に鮮やかな、山中温泉芭蕉の館に、エッセイストの岸本葉子さんをおむかえして、ワクワクの始まりです。

まずは、素敵なお客様から発句を頂戴しました。


 青梅雨や九谷の皿に山の景  岸本


この同じ場所で前日まで、「古九谷修古祭」が開催されていました。
 古九谷は深い青翠を多用した「青九谷」などのスタイルが有名です。温泉街を抜けた谷あいに。九谷という名の村落の跡があり、窯跡も保存されています。
土地への挨拶も込められた、美しい一句ですね。さて、その付けは

  古き窓辺に届く南風   橋本

 ここ芭蕉の館は趣ある古風な建物です。その窓辺にも、それまでの天候をかえてくれる夏の風がどきましたよ、という挨拶のつもりなんですけど。うーんなんだかいまいちでした。
本当は白南風にしたかった。。岸本さんは、白いイメージなので。
でも発句に「青」がありますから、色が重なるのをさけました。


第三句  僻村は曽て天領紬織る  梶


夏の句が二句続いたので三句目は無季の長句です。実は岸本さんは今回は白山市の僻村塾でご講演なさってのお帰りだったんですって。
白山山麓には牛首紬という素晴らしい紬がつたわっています。山里の景色を添えてかつお客様への「ご苦労様でした」みたいなごあいさつもあるようですね。


第四句   ざる蕎麦うまき藁葺きの店   中井


 あーありますね。山奥のお蕎麦屋さん。美味しそうですね。さて次は月の定座です。



第五句  市井の灯転々として月白し  平井


山里をでて、夕闇に点々とかがやく町の灯を眺める。小さな灯火の一つ一つに住んでいる人々の生活や思いが揺れているのですね。人懐かしく優しい光景です。
秋の句を続けます。


第六句  影重なりて稲田を駆ける  正藤


今度は広々とした稲田にでました。月影の光景だとしたら、夜の稲田を駆けるのは電車の灯影かもしれませんね。銀河鉄道の夜みたいな詩情ある光景。

さて、あっという間に、初折もおわりになりました。次の句は 初折の裏ですね。秋の句をもう少し続けましょう。


初折裏

第一句  無花果を踏んでしまひしスニーカー  岸本

前句をランナーの姿とごらんになったのですね。
しかし、無花果の句はたくさんありますが、スニーカーで踏んだのは初めて見ました。
新鮮でした!こういう驚きが連句の面白さですね。


第二句  焦げ癖つきしジャムを煮る鍋   中井


無花果を踏んでしまった、そのちょっと困った感じ、汚れた感じ、と焦げ癖の付いてしまった鍋の、困った感じは、ちょうど似ていますね。感覚的な類似をみつけるのはとっても難しいことですが、うまいと思いました。それに、淡い詩情もあります。
きれいな付けだとおもいました。もちろん無花果ジャムも大好きです。

今回は一気に初折の裏まで運んできました。来月はどんな展開になるでしょう。
岸本さん、お忙しい中ありがとうございました。楽しかったです。

写真は作句中の岸本さんと連中の皆さん。
そして

古九谷修古祭に出品した、私の大皿です。連句のお部屋に飾っていただいて、うれしい。