やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

涼風舌下

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 我輩はミケ、猫である。
今日は我輩の日本の夏の楽しみ方を伝授してやるつもりである。耳の穴を足で良くかっぽじって聞くように。

 写真の草は風知草である。風に揺れる涼やかな風情を古来文人は愛でてきたのである。
かく言う我輩も、時々短歌などものするがあくまで余技である。コホン。
写真左側は、我輩の水のみ鉢である。夏は広い水面が見えるのが涼しげであるので大きいものを選ぶ。
右の植木鉢はトンボの図柄。トンボは勝虫といって武家の好む所である。真ん中は網に魚、これも涼しい染付である。

 磁器の鉢はひんやり涼しいので良く我輩は鼻をつけて涼むのである。鼻は何しろ我輩の水分を蒸発させうる唯一の部分である。そう我ら百獣の王の親戚である猫族は汗などかかぬ。そんなものは下僕のかくものである。

 風知草の葉擦れのサラサラとかすかな音に耳を遊ばせ、爽やかな緑の香を嗅ぐ。そして葉先をもぐもぐするとこれがまたいける。我輩は「猫草」の俗な味は食わぬ。夏はこれ、風知草にかぎるのよ。
 世話係のおるかは「高くつく」と不満げである。、けっ風情を解しないものはこれだからいやだね。
愛でるとは五感で味わうことである。ハムハム。

君待つと吾が恋をれば我が宿の風知草ゆるる食べごろですと  ミケ