やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

泰山木の香をかげば

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我輩はミケ。猫である。
我輩はキャットミントの香りを愛する。マタタビはそれほどでもない。
我輩の世話係のオルカはマタタビ・ボールなど買ってきては「ほれほれ」などと「さぁ、酔っぱらってくれ」という顔をするが、我輩はそんな俗な輩ではないのである。

ところで、山々を濡らす緑の小雨の中、おるかの句友の女性が泰山木の蕾を届けてくれた。
なんと雅な心栄えであろう。泰山木の香りほど絢爛としてかつ高雅な香りはない。
神の調合は幽玄なるかな。人間のつくる香水などまだまだである。

水無月の泰山木の香をかげば昔の人の袖の香ぞする  みけ

なに、またパクリじゃないかって?!それがどうした。藤原長能も書いている。「有情非情もみなよく歌を詠み、草木土砂、風の音水の音にも心がこもり、春の林に風が吹き、秋の虫の音も皆和歌である。」と。ことほど左様に和歌というものはそういう響きの中、先行する数多の詞章の中からゆらぎでてくるものではないのか!
 それに
五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする

の歌の香りは花橘であるから柑橘系の若々しく青っぽさの残る人物の風情である。それにひきかえ、泰山木の香りのイメージは妖艶豪華な女性(にょしょうと読むように!)をそうぞうさせるではないか!

さて、ひんやりした泰山木の蕾ににスリスリして、我輩のジャコウネコ的ムスク的香りとカツオ風味カリカリのフレイヴァーも足しておこう。これぞまさに天上のヴィーナスと地上のヴィーナスの合一!プラトンアリストテレスが手を取り合って泣いて喜ぶ香りであろう。