やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

12月の俳画 日向ぼこ

句はずいぶん昔に作ったものですが、

 

天網のかくもやはらか日向ぼこ  おるか

 

 天網とは、天の神様が張り巡らした網。「天網恢恢疎にして漏らさず」と、ことわざに言います。網にかかる、というのがあまり心地よい印象ではないので大概、悪い行いが、天の配剤によっていつしか報いを受ける、というときにつかわれます。良いことの方にはあまり使いませんね。

だから、自分がここに一人、世界から見捨てられたように座っているのも、過去に犯した何らかの悪の報いなのだろうか、と考えたりもします。

 けれど、冬の日に暖かに包まれていると、こうなるほかなかったのだ、という諦念にも似た肯定を、己に肯う。天網は、こんなに柔らかだったのだ、と。

 

 絵の中の猫さんは睨んでますけどね。猫には天網が見えるのかもしれません。

右下のは、

ボードレールの「悪の花」の中の「秋の歌」の一節「クッションに悦ぶ君の、そのけだるい仕草…云々」

「悪の花」に描かれる恋人はどう見ても猫っぽい。猫の「悪の花」シリーズ描いてみようと思いつきました。