庭の南天にヒヨドリが来ている。騒々しく枝葉を揺らしながら、実をつつく。鳴き喚き、葉を散らし、思いっきり傍若無人だ。
南天の実はとっくに赤かったのに、今頃になってやってくるのは、他に食べ物がなくなったのだろうか。
美味しいものがあるうちは見向きもしなくても、いよいよお腹が空いてくれば、食べられるだけで嬉しいのだ。そう思えば、ヒヨドリたちの横柄さも多少は同情できる。
句は
…天網はかくもやはらか日向ぼこ おるか
三十歳のころの句だが、今の方が、この気分がわかる。冬の日の暖かさに、座っていると、何か大きなものに操られて、今こうしていることの不思議さと どうしようもなさとの綯い交ぜになった気分に、ふと目を閉じてしまうのだ。