少し冷たい今日の雨、枝垂桜は散り果ててしまいましたが、窓から眺めていると薄紅色がちらとみえます。すっかり新緑につつまれた枝先に、ひと房、花がさいていました。
これは、残花ではなく、余花というものですね。哀れ深いな。
さしぐむがごと余花のいろ淡かりき おるか
花びら形の小付け。他にもおさかなとか蝶などあります。なぜ蟹かって?
宮沢賢治に「やまなし」っていう夜の川底の蟹の親子の話がありますね。大好きなお話なんです。クラムボンは、まぁ、笑ったんでしょう。
落ちてきた山なしを追いかけるところ、私の心も一緒に流れの底を走っちゃいますね。花筏のころは、きっと蟹の親子は「にいさん、ああ、きれいだねぇ」なんて見上げることでしょう。