やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

お椀あれこれ

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新しいお椀を作ろうと思って、あるものを並べてみました。これまでさまざまのお椀を作ってきました。写真はほんの一部です。

お椀という形は、とても美しいので、作っても作っても飽きません。蕾のようにふくよかで、水滴のように自然です。人にとっての永遠の形だと思っています。

さまざまのお椀の中で、一番美しいのはどれかしら。答えの出にくい設問ですね。と、言うか答えを期待していない問というべきか。

例えば大勢の人の顔を重ねて平均化してゆくと調和の取れた美しい顔貌があらわれますね。プラトン主義者なら喜んで、神のみそなわし給う人間のイデーの顕現とみなすことでしょう。

それならお椀も重ね合わせてゆくと「お椀のイデー」にたどり着くのでしょうか。

それはいわゆる「用の美」とどういうかんけいにあるのでしょう。じっくり考えて見たい問題です。

 現代では、当然のことのように思っている用の美というものも、合理主義、効率重視の世界観から影響された一つのイデオロギーにすぎないのではないかしら、と個人的には、考えています。

 紋様は、それこそ何の役に立つのかと言われたら答えられません。(かつては、ひょっとすると宗教的意味とかなんとなんとかあったのかもしれませんが)。

言葉を書き表す以前から、どんな文化も、紋様を描いてきています。人間の脳は紋様に魅せられるのです。

綺麗!素敵!と感じると脳内に快感物質が出て、気分が高揚し、健康にもいい。「美意延年」うつくしいものを見ると長生きするというのは、真実なんですね。

寿命が延びるようなきれいなお椀、作りたいな。