コロナウイールスの嵐の中で、ゆっくり花を愛でるのも気が退けるような昨今です。
こういう時こそお家で花を楽しみましょう。うつわにさいた染付のさくら。ときじくの花。
手前染付五寸皿に白身魚の西京焼き梅風味蓮根ソースかけ。ソースの色がやや褪せてきた花の色を思わせますでしょう?花は散り際が好きなので。
桜模様の器はこれまで、いろいろ作ってきました。食卓に並べると、今までに眺めてきたあちらこちらの桜のことが思い出されます。
八重桜 をりしる人の なかりせば 見し世の春に いかであはまし 後京極摂政前太政大臣良経
二度と会えないとわかっているからこそ花は見たいものですね。
思いにふけって居たいけど、昼食の後はハードに仕事する予定なので、盃には桜の蕾だけ。お酒に浮かべたかったけど控えました。
その右上のお茶碗は色絵です。葉桜になって緑の葉の間にぽつぽつ花があるのもまた良いものですよね。
左側の祥瑞八寸皿には卵焼きと生麩の炊いたもの。桜川小菓子鉢は外側に波に散る花がえがいてあります。
花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎ行く舟のあと見ゆるまで 後鳥羽院宮内卿
水にちる花に航跡が見えるといってもつかの間の事ですよね。いかにも短命の人らしい儚さのオンパレード。
その上は夜桜手付鉢。淡い瑠璃釉に金彩です。濃い瑠璃色よりも、もの哀れ感が漂うと思ってこの色調にしました。
左上の大鉢は花筏紋様。散りゆく花は一入美しい。
花屑の暗がり坂になかりけり おるか
暗がり坂は金沢の坂の一つ。狭い石段が続いています。花のころはどこでも花びらの散ってるものですけど。たまたま。
四月六日