やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

十月の表紙 木の葉形皿あれこれ

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 ベランダに朴の枯葉の散る音がします。手すりを這う蔦の葉は、少し色づき始めたくらい。この辺りの紅葉の見ごろはもう少し先のようです。温暖化のせいか、紅葉は遅くなりましたね。

 春の花と秋の紅葉とどちらが好きかという問いは、おおざっぱすぎる質問ではありますが、額田王は「秋山の木の葉を見ては黄葉をば取りてぞしのぶ青きをば置きてぞ嘆く。そこし恨めし秋山ぞ我は」と 紅葉に軍配を上げています。たしかに、落葉を拾うのは楽しいし、枯葉を踏む音も心に響きます。

今年第一の紅さこの一片の紅葉かな 原石鼎

ひとひらの紅葉の紅さに打たれて、「今年見た赤の内で一番美しい!」と思う気持ちよく分かります。掌に包んでこその感動でしょうね。

 前置きが長くなりましたが、そんなわけで木の葉型の器を並べてみました。
写真手前の染付木の葉形大鉢には白山豆腐のサイコロステーキ(?)。

 白山名物のとても固い堅豆腐は水切りする必要がなくてべんりです。木の葉の子皿にそれぞれタルトゥフォ、ブラックオリーブとトマトのパテ、菜の花のオイル漬けなど、ちょっとづつ乗せて風味それぞれ。

 左側の菊の葉の向付には加賀市の橋立漁港の貝のお刺身、右の萵苣の葉向付は、富山湾の宝石、白エビの天婦羅。そして紅葉のお椀に、加賀蓮根の煮たの、です。

 
 真紅の木の葉形大皿に葡萄、その奥、紅梅白梅図の木の葉形皿にも葡萄、花に隠れていますがその向こうの木の葉形皿は夕照帰帆図。
 
木の葉、草の葉、みな盛り付けやすい形です。昔々,まだ焼き物がない時代には、きっと食べ物を木の葉に盛っていたのでしょうね。