パソコンの調子が悪く、すっかり遅くなりましたが、名残の表の続きです。
先月は七句目。秋の長句でした。
昏れなずむ潟の面を吹く秋の風 正藤
八句目 秋の短句は
宿の二回に蜩を聞き 西
をいただきました。秋風に誘われて、旅に出た風情ですね。次はちょっと早めに月の句を。
月は多少、早く出ても遅くても良いのです。
九句目
白山を望む店先月を待つ 平井
思うことがあって旅に出ていた人物が、吹っ切れたのか、もどって家の店先に立つ。とは言え、月を待つ背中には、往きて帰る心境の違いがにじみますね。
十牛図の「帰化穏座」の境涯でしょうか。
十句目
紅葉いかだの次々流れ 中江
白山を流れる渓流の光景でしょうか。美しく動きのある付けです。
十一句目
意のままに心のままにけふ一日 佐藤
前句の流れゆくモミジの光景を受けて、せき止められることのない心の動きへと転じた、絶妙の句。
このさくしゃの句は、感覚的に見えて、常に前句の意を的確にとらえています。
十二句目
足湯に浸り星空仰ぐ 正藤
前句の一日を受けて、夜の足湯につかるながれは素直な付けだとおもいました。
けれど、今気づきましたが、星空は、秋の季語だったかもしれませんね。
「夜空を仰ぐ」くらいにした方が安全かな。
そうなるとどこか冗長になって「浸り」が気にかかってきますね。「浸り」まで云う必要はないかもしれません。
しかし「あしゆに一人」とかだと前句の「一日」と「一」が被ってしまいますから、ここは「足湯に他人と」とかあるいは自分の「影と」とか、へんこうしたいきがしてまいりました。来月話し合ってみましょう。