やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

冬の夜の読書

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 我輩はミケ、猫である。
今夜はおるかは窯を焚いている。徹夜になるのだろう。
そこで我輩は炬燵の上で、突然の腹モフや肉球いじりに邪魔されることなく静かに読書にふけっているのである。

 今福龍太著「レヴィ=ストロース 夜と音楽」を読了した所である。
なに!枕にしてるだけだろうだとっ!
これだから俗物はこまる。我輩はこの美しい書物の読後感をかみ締めている所なのである。
 これまでも今福氏の著作は何かと読んできたが、文化人類学のフィールドの、つまり世界各地の人間の諸文化にうとい我輩にとっては、『確かに人間ってのは、そういうわけの分からんものであるよにやぁ』的な、通り一遍の感想しか抱けなかったのである。が、この本はエッセーとして、とても楽しく読めた。
 最近の著書の「薄墨色の文法」しかり。なんだか今福龍太(実にめでたい響きだ!)氏、美味しく熟してきたようじゃニャー。楽しみ楽しみ。最近読んでわくわくする本になかなか出合えなかったので嬉しい限りであった。
モチロン細かいことを言うと、シモーヌ・ヴェイユに関するあたりとか一寸違和感の残る所もあった。
しかしメインは猫好きレヴィ=ストロースであるから、我輩は大満足で読み終えたのである。

 しんしんと冷え込む冬の夜、今福氏とレヴィ=ストロースのお二人の、フーガのような思想の夜と音楽にさそわれて『悲しき熱帯」を読み返すのもまたたのしそうである。