やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

レンゲショウマ

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大雨の中で開いたレンゲショウマ。

 日本の山野に咲く、一族一種の孤高の花ですね。部屋の中でも細い花茎が風に揺れ止まないので、ピントがなかなかあいません。
 どこまでも細く長く伸びてゆく茎をみるたび、プルーストの「失われた時を求めて」のなかでシャルリュス男爵がジュピアンの姪の首の美しさを語る言葉をおもいだします。
 ここでその言葉を引用したかったのですが、あの厖大な作品の中から何気ない会話を一つ見つけるのは難しいので、やめました。
 でも、うつむいた花容が可憐で、仕立て屋ジュピアン氏の姪の、可愛いお針子の姿をいつも想ってしまうんです。

 そういえばプルーストの小説には植物の比喩がとても多いですね。しかもどれもこれも生き生きして印象的です。それぞれの女性や思い出に結びついて、じわっといいんですよね。「失われた時を求めて」は若いときからずっと読み続けてきたものですから、それらの花の思い出は私自身の思い出とも絡みついています。
 それで裏の山道にサンザシ植えましたもの。赤いサンザシ白いサンザシ。私も小説の主人公のようにサンザシに訪ねます「今年の花は終わったの?」サンザシが答えます「ああお嬢さんたちはもういってしまいましたよ」ああ去ってしまった花々よ、私の青春よ、と浪漫チックになっってしまった、暑いな。

レンゲショウマは日本の花ですから、プルーストの小説にはでてきません。青磁の花瓶にいけてみました。青磁はどんな花にでも似合って活けやすいです。