この時節の山の朝は黄金に輝いています。
写真の真ん中の薄暗い山道を行くと木には卯の花。その下にシャガの花が咲いて白い花の道です。朴の花が咲くと風に乗ってすばらしく高貴な香りが漂ってきます。あまり美しくてこのままどこまでも歩いてゆきたくなります。
ちょっと目障りなのは「山火事注意」と「熊に注意」の看板です。大切なご注意だけど美観を損なうわねー。
五月の林にはいるとランボーの詩「黄金時代」を思い出します。イヴ・ボヌフォワが「言葉が翠と黄金に輝く」と評した詩です。
いつも天使的な
あの声が
緑にささやく
それって僕のことなんだけど
枝分かれしてゆく
千もの疑問は
どこにもたどりつかない
ただ酩酊と眩暈だけ
この歌知ってる?
こんなに陽気に、こんなにやさしい
それは波、花々
そしてそれこそあなたの家族!
そして彼女は歌いだす。オ~♪!
こんなに陽気に、こんなにやさしい
裸の目には見えるはず…
僕も一緒に歌います
この歌知ってる?etc…
詩はまだまだつづきます。そしてランボーらしい若い苦味と屈折に胸をつかれるのですが、それでもなお言葉が緑と金に輝く。
1872年の6月に書かれた詩の今でもなんとみずみずしいことでしょう。この年の5月から6月にかかれた詩篇はどれも、突き抜けて高い青空の哀しさにあふれています。緑がまぶしくなるといつも思い出す詩篇です。