やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

雪に負けない花

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雪掻きをしていたら、折れそうな細い枝先に、臘梅の花

旧暦の十二月、臘月ころに咲くのでこの名前なのだそうですね。花びらが、かじかんで寒そうですが、顔を寄せれば、たしかに蝋梅の香りがします。生きて居るしるしに放つ香りの清冽さ。水仙に似た、少し哀しい香りです。

 雪の下では、他の植物も黙って春の準備を営んでいるのでしょう。

 

 蠟梅や雪解雫のささめきに  おるか

もろ,季重なりですね。あとで考えます。

 

ようやく道が開いたので、美術館まで。今,吉田屋展が開催中です。せっかく山から出てきたのでカフェに寄りました。

   

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色絵のカフェオレ・ボウル、金接ぎをしていただいています。コーヒーでみえませんが、金接ぎは、底の方でつながっています。割れてまでも使っていただけるなんて嬉しい。作り手冥利につきますね。

大雪にも負けない花と、割れても咲き続ける色絵の花と。今日は嬉しいものを二つも見ました。

大雪!

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夜になっても雪が降り続いています。

明日は嫌でも雪掻きしなくてはならないでしょうね。

力仕事はきらいでもないのですが、その後、手がばかになってしまって、デリケートな絵付けができなくなるので困ります。

 雪に来て多くの小事はずしけり  赤尾兜子

 

これだけ大雪だと、大事だってはずしちゃいますよ。

晴れてほしいな。

 

 

 

俳画を届けに、

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加賀市動橋の加賀棒茶製茶場のカフェ実生まで、俳画を届けに出かけました。きれいな室礼のまえでお茶。美味しい上生菓子にお正月の大福茶、このあと「お時間が御座いましたら」ともう一煎いただいて、お値段の話もなんですが、これで五百円って破格のお安さでは?

ともあれ、一人静かに煎茶を味わいました。

真正面から小面に見降ろされてなんだか恥ずかしいような。

だんだん小面が羨ましがっているような気もしてきたり。ええ、お茶もお菓子もとてもおいしかったのです。能面の微妙な表情は、己の心を映すものなのですね。

さて、俳画ですが、実は写真を撮り忘れてしまって。

       

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二階の窓から見た景色です。これをもとに、もっと単純化して雪空をメインに描きました。

句は

 

 雪国や持ち重りする燗徳利  おるか

 

句は、いかにも雪国でしょう、みたいで通俗でしたね。

寒くて、気がよわくなってるのかな。そういう時って絵でも句でも,うけの良さそうなものをつくってしまいがちです。気を付けよう。

 

お正月の表紙

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御節といっても名ばかりの。

気持ちばかりのお正月。いただいたお野菜、慈姑の素揚げ、器は荷葉形のちいさな小付け。

生麩入りのお雑煮は古九谷風の色絵碗。染付馬上盃に黒豆。

赤絵のぐい吞みには金彩で年年歳歳とかいてあります。その時思いついた詩の一節を書くので両人対酌山花開とか、いろいろなんです。

絵が全く見えませんが、なますの乗っている小皿には唐子遊びが描いてあります。こちらも、思いついた遊びを描いていますが、この一枚は鶯に笛を吹く唐子の図です。

奥の青九谷風の大皿にはありあわせのおかずあれこれ。

そして、お箸に顔を隠している牛の箸置き。

さて、お気づきかもしれませんが、お餅を使っていないんです。

左の赤絵の菓子鉢に入っているのは、米粉のパンなんです。あらたまの新年に新しい魂をかたどった白くて丸いものがあればよいのだろうと思いまして。

日差しがテーブルに届くようになりました。こうして少しづつでも春に近づいてゆくんですね。

今年は良いことがありますように。

 

 去年よりも大声に鳴く初烏  おるか

付けは

  めでたくもありめでたくもなし  

 

2021年1月4日

 

あけましておめでとうございます。

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明けましておめでとうございます。

 

新年になりました。良い一年になりますように。

御年賀に、美牛さんを描いてみました。ハハハ。一枚一枚描いていますから、それぞれちがうんですよ。いろっぽ流し目牛とかもいたんですが、まあ、健康的な牛を選んでみました。丑年の今年は、一日一日をかみしめて良く反芻しようとおもいます。

 

窯焚きはまだ終わりません。雪が降りつのってきました。でも大晦日の夜に、一瞬のぞいた冬の月は異世界のもののように明るかったですね。

 

一人守る窯の炎の色去年今年   おるか

  

 

 

さよなら2020

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滅びゆくものは美しい。

晦日、窯を焚きながら、掃除をしています。花を活け替えて、枯れた花を捨てようとしたら、捨てられない。美しすぎて。

凋落とは、かくも、あえか。命を終えるとは、どんな小さなものでも厳かですね。

2020年は、未来のいつの日か、エポック・メイキングな年であったと記されることでしょう。

奢れる人類の試された年として。

全ては滅びる。地球の歴史も今がちょうど真ん中ごろ。あとは後半にはいります。人類もこうして、凋落へと向かうのでしょう。

この美しい星の盛りの時節に生まれ合わせることができて幸運でした。

来年は、地球環境のために運転を控えよう。そして他の生き物、特に猫、のためになにかしたい。

寒波が来ているそうですが、雲間から時折シャンパン・ゴールドの光が降ってきます。

私もこんな光の中で,花が枯れるように静かに往けたらいいな、と思いました。最終目標ですね。

 

美男葛の冬紅葉

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 押し詰まってまいりました。そろそろ御用納めのところもおおくていらっしゃるのでしょうね。こちらは、…ついに大晦日に窯を焚くことになりそうです。

ひとえに自分の計画性の無さのせいですので、ぼやいてもはじまりませんね。

 ところで、仕事場の窓から、ああ冬紅葉がまだきれいだな、などと眺めていましたが、ふときがつきました。美男葛って常緑ではなかったか、と。

確かにこの紅葉は違和感がある。去年まではこんなことはありませんでした。どうした美男葛?

名前の由来の、平安時代のヘア・リンスだったという、茎や葉から出るドロドロの液体で、たまに髪を洗ったりしていましたので、枯れたらさびしい。

美男葛はさねかずらともいいます。百人一首

 

名にしおはば逢ふ坂やまのさねかずら人に知られで来るよしもがな  三条右大臣

 

の歌でしられるさねかずら・美男葛。蔓はかなり丈夫で、がっちり抱え込んではなさい感じです。執着の強さを感じさせますね。

 

 いまだ さて なぜ なほ 残る冬紅葉  おるか