やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

はがき俳句12月

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暮れも押し詰まって、仕事に終われる日々の中にひらりと舞い込んだ
葉書俳句。

西原天気さんと笠井亞子さんの合わせて十句

 天気さんの5句は宇宙、笠井さんのは新宿と題名がついていました

冬の空もしくは消せるボールペン  天気


詩情ありますね。冬の空の限りなく澄んだ高み。冬空の、人の汚れを寄せ付けないような透徹は逆に次の瞬間、微塵に壊れそうな脆ささえ感じられもします。
説明してゆくのは、断固、重くれまいと決意している天気さんのご意思にそむくことになりそうですが。

消せるボールペンという奇妙な儚さを持つ小道具の取り合わせが絶妙ですね。

どんなにいたづら書きをしても汚すことの出来ない純粋な空の青。不垢の存在はしかし、それゆえに硬質すぎて脆いもの。太平洋岸の冬晴れの空に現前する汚れることの出来ないものの悲しみ。それは消せるボールペンのように軽くかすかだけれど、やっぱり哀しい。

 腰かけて旅の途中のひなたぼこ  天気


 ローカル線の一駅一駅をたどりながら冬の日のぬくもりをあじわう。良い旅ですね。
しかし、また人生は旅なりといいますから。家の縁側でも旅の途中の日向ぼこかもしれない。ともあれ、良い時間です。


冬深し鶏の尻から詰め物を  亞子


クリスマスの七面鳥もレイバーズ・デイの鶏も、お尻の穴からとっても楽しいいろいろなものを詰めちゃうんですよね。
食べるということの、面白うてやがて悲しき現実。



綺麗な葉書です。干支箸置きの馬さんも、のぞきこんでいます。

水菜をガラスにいけておくとさわやかな香りがします。
寒くなると冷蔵庫に入れなくても、こうして水にいけとくとけっこう元気ですし、良い匂いもするし一石二鳥ですよ。