やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

雪の日

眠りを抜けると雪国だった!

一夜にしてそれまでの日常から異世界に運ばれてしまったよう。これでも、庭なんです。

 雪吊はしません。お金もないし、藪椿や櫟など野山に普通に生えている木が多いので。とはいえ、うなだれて苦しそうです。以前四国へ行った時、山の木々が、のびのびと健やかに生えているのを見て北陸の木々が可哀そうに思えました。

雪の好きな俳人といえば、まず橋間石でしょうか。第一句集の名前が「雪」ですものね。どの句集にも雪はたっぷり積もっています。

 

 雪ふれり生まれぬ先の雪ふれり   間石 句集「にぎたず」

 

生の始まる前から雪!

 

 たらちねの雪なるぞ酒を熱くせよ  間石 

懐かしくて嬉しくてたまらないみたいですね。

金沢出身の橋間石は故郷=雪って感じですね。一度お会いした時、非常ににこやかで、こちらを見る瞳がキラキラしているみたいでしたが、あれは、私が『加賀から来ました』と自己紹介したからなんでしょうね。それほどきっちり見比べたわけでもありませんが、なんとなく詩人の西脇順三郎と雰囲気が似てるみたいな…。ほっそりして、英国紳士風のダンディな服装で。

西脇順三郎新潟県小千谷の出身で、たしか「雪の日」という草稿に、「考えがつきたところに恐らく/存在の本質がある」という、プルースト的な一行書いていたっけ。そういえば「失われた時」という詩もあったな。

雪の日は、今までに読んだ本の思いでも降り積もる。

早く雪解けになってほしい願い込めてまた橋間石の句集から

 

カンヴァスに目玉が一つ雪解けぬ   橋間石「微光以後」

 

キクロプスでしょうかしらね。ルドンの絵のような。