世界中のネコ科の皆様に幸いあれ!
手前は筆置き猫、猫ティースプーン、
せっせっせしてるのは、カード・フォルダー猫。その向こうは、いつもお線香を捧げ持ってるけど、休日は魚釣りしている猫さん。
おひなさまのむこうは、ナプキン・リング猫さんです。お雛様方以外は、御仕事している、働き者の猫さんたちです。
えっ、お雛様も災厄を流して幸いをもたらすお仕事中ですって!マグヌス・オーパス❣❣
ミモザ抱いて帰る釣する猫通り おるか
小筆を分けてもらってきました。美術館のカフェで、ついでにお茶もして。
赤絵唐子遊びのそば猪口に花芽の豆皿。春を待つ取り合わせですね。自分の作ったものではありますが、大分、以前のことなので、なんとなく新鮮。
書道用の筆がなくなったので分けてもらったのですが、筆も値上がりだそうです。
筆職人さんたちも大変のようです。前にも書きましたが、材料そのものが手に入りにくくなってしまっている現状です。日本鼬が、もういない。
毛を集めて、使える状態にして、そして使い方に応じて、中央の命毛には、固めの毛、その周りには別の特徴の毛と構成して作り上げます。
首の後ろの毛とか、腹毛とか、部位によっても毛の性質が違う。一本の筆を作り上げるまでに大変な経験のいるお仕事なんですよね。
そういう方のおかげで、私も仕事ができる。感謝しかありません。
熊野筆雪解雫に選びけり おるか
箸置きを入れる箱を探して。近所の紙器製作所をお訪ねしました。
手作り感のあるイロイロコハコさんの小箱、かわいい。
お気づきの通り、金属でとめてあります。手前のスチール・グレイの小箱は銀色の、上のは銅色。
特に、角止めという横向きに止めるやり方は、もうほとんど見られなくなった作り方なのだそうです。立てに止めてあるのは平止め、素朴な感じです。
金属があると、ごみに出しにくいじゃないか、と思われることでしょう。そこです。
使い捨てにされる箱たちを憐れんで、というか、愛おしんで、経年変化もふくめて長く使ってもらいたい、というコンセプトからつくられた箱達なんです。手前のものはフランス製の直輸入再生紙だそうです。もちろん日本製の紙もあります。
私は、紙は日本製が一番だ、と思っていましたが、再生紙などは、むしろ日本製はきれいに仕上がりすぎているかもしれません。手前の白や灰色の手触り感、素材感がある方が、面白く感じられます。
作業場も見学させていただきました。こちらは金属のない普通のタイプですね。
地震の時は、紙が散らばって大変だったそうです。
箱を開ける時って、何が入っているか、ワクワクしますね。
小さな箱も一つ一つ手作りしていらっしゃる人がいる。大切に使わせていただこうと、思いました。
立春の雨音小箱に閉じ込めて おるか
眠りを抜けると雪国だった!
一夜にしてそれまでの日常から異世界に運ばれてしまったよう。これでも、庭なんです。
雪吊はしません。お金もないし、藪椿や櫟など野山に普通に生えている木が多いので。とはいえ、うなだれて苦しそうです。以前四国へ行った時、山の木々が、のびのびと健やかに生えているのを見て北陸の木々が可哀そうに思えました。
雪の好きな俳人といえば、まず橋間石でしょうか。第一句集の名前が「雪」ですものね。どの句集にも雪はたっぷり積もっています。
雪ふれり生まれぬ先の雪ふれり 間石 句集「にぎたず」
生の始まる前から雪!
たらちねの雪なるぞ酒を熱くせよ 間石
懐かしくて嬉しくてたまらないみたいですね。
金沢出身の橋間石は故郷=雪って感じですね。一度お会いした時、非常ににこやかで、こちらを見る瞳がキラキラしているみたいでしたが、あれは、私が『加賀から来ました』と自己紹介したからなんでしょうね。それほどきっちり見比べたわけでもありませんが、なんとなく詩人の西脇順三郎と雰囲気が似てるみたいな…。ほっそりして、英国紳士風のダンディな服装で。
西脇順三郎は新潟県小千谷の出身で、たしか「雪の日」という草稿に、「考えがつきたところに恐らく/存在の本質がある」という、プルースト的な一行書いていたっけ。そういえば「失われた時」という詩もあったな。
雪の日は、今までに読んだ本の思いでも降り積もる。
早く雪解けになってほしい願い込めてまた橋間石の句集から
カンヴァスに目玉が一つ雪解けぬ 橋間石「微光以後」
キクロプスでしょうかしらね。ルドンの絵のような。
加賀大聖寺藩十万石の城下町。水銀色の雲の下の青磁色の水。北國らしい灰色のトーンの風景です。町の中をうねうねと、まるで出口を探すかのように川が這いまわっています。低地の町の川沿いの遊歩道には、低い木の橋がいくつもかかっています。
おや、水鳥がいる。
クロガモかな?脚がかわいい。
ただ見れば何の苦も無き水鳥の脚にひまなき我が思いかな 水戸光圀
とはいうけれど、すいすい楽しそうに見えますけどね。もちろん寒いだろうけれど。
寒さに負けないのは、こちらも同様ですね。足元に咲いている水仙の花。
水仙は様々な品種がありますが、昔ながらの金盞銀台と呼ばれるこの水仙が好き。花のの少ない時節に咲いてくれるのも嬉しい。
歳寒三友(松竹梅)ほどしられていませんが、雪中四友として玉梅、蠟梅 山茶花、水仙というのもあるそうです。
川風に吹き払われながらも、香りがします。水仙の 甘さの底に、青い哀しみのある香り。
水仙や少年ら手に手をつなぎ おるか