やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

雨かんむり

こんな寒さの中に咲く冬薔薇。健気すぎる

 

 冷たい雨が降っていました。「雪にはならなかったのだな」と思いながらも窯詰め作業が億劫で、とりかかれずにいましたら、庇を打つ音が変わって、沛然と霰。

 飛び跳ねる粒がかなり大きい。霰と雹の違いって5ミリ以上か以下か、でわけられるようですので、「これはもう雹かな」とおもっているうちに、一旦小止みになって、今度は霙。

一時間もしない間に、雨かんむり、のオンパレードです。もちろんベランダの向うの川には今朝ほど川霧が。

早く春霞が見たい。

重そうな雲間から、つかの間光が零れてきました。シルバーライニング。

 

ちちたたと雷のちかづく霜の薔薇   おるか

 

 

蠟梅

午前中は、風花が舞っていました。大地震からまる一週間、風花は地面に吸い込まれるように消えて行きました。

晴れ間に外に出てみると、蠟梅が莟をつけていました。紅葉や招霊木の枯れ枝が、地震で落ちたのでしょう、絡まっていますが、明るい黄色がかわいい。

もの言わぬ植物も、もちろん驚いたことでしょうが、こうして莟をはぐくんでいる。「国破れて山河在り」というか、必ず春は来るのだと、思わせてくれます。

仕事しよう。

 

  手仕事に護らるる日々霜の声   おるか

 

 

九谷焼美術館開館

地震の後、閉館していた九谷焼美術館が6日から通常通り開館になりました。

こじんまりした美術館ですが古九谷の名品も多く収蔵されていますし、心配でしたが、作品に被害はなく、施設の安全点検のために閉館していたと聞いて安心しました。

二階のカフェ「茶房古九谷」もオープンしていました。

初詣の後、立ち寄って、花弁餅をいただくのが、私のお正月の、お決まりだったのですが、ちょっと遅めでも今年も花弁餅を味わえてうれしい。

赤絵のお椀は干支の龍と蓬莱島の絵ですね。お茶の香りにホッとしました。

禍福は糾える縄の如し、といいます。新年早々、これほどの災害に見舞われたからには、新しく明るいものがきっと芽吹いてくるのだろうと信じたい。

とはいうもののニュースを見ているとなかなか仕事に手を付けることができませんけどね。

 

 忍び手に打てど山茶花散り止まず  おるか

 

あまり大きな音で手を打つのがはばかられる気分。

地震の後

元旦の大地震。未だかつて経験したことのない揺れで、驚きましたが、御覧の通り

棚の上の器は一個も落ちもせず割れもせず、だいじょうぶでした。

お見舞いありがとうございました。御心配いただいて感謝しております。

 

右上の大皿などは皿立てが小さくて、もともと不安定でしたが、それさえも、倒れもせず、暮れ往く初日を浴びておりました。

築三十年の木造家屋で、こうなのだから、能登の方は大変だったけれどこの辺りは幸いにも大したことなかったのだろうと思い込んでおりましたら、情報が入ってくるにつれてかなり被害も出ているとのことでした。

運が良かったんですね。天狗様のご加護?

ともあれ、余震の続く間は窯焚きはやめておくつもりです。

この寒さの中で避難なさっていらっしゃる皆様は、大変でしょうね。心が痛みます。

これ以上余震などで被害のないことを祈っております。

 

雪に負けぬ花

クリスマスローズ莟発見

雪もだいぶ解けてきました。 根本に土が見えるのも、もともと葉陰になって積雪が少ないのでしょうけれど、生命の熱でもって溶かしたみたいな迫力を感じさせてくれます。

植物は、

雨二モ負ケズ風ニモ負ケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモ負ケヌ

丈夫ナ体ヲ持っていらっしゃるんですね。

そして

決シテ瞋ズ

イツモ静カニ笑ッテイル。

 

植物は悠久の自然の理を生きていらっしゃる。

たまに話しかけていますが、その時は、おのずから敬語になってしまいます。フフ。

雪の中に莟を営む姿は、可憐でかつ勁く、ひとしお美しい、

越前海岸の水仙も咲いているのかな。窯を焚いたら、見に行こうかな。

キャンドル・ナイト

外はホワイトクリスマスというもおろかな大雪。

どこへも行けない、買い物もできない。ケーキを焼く時間もない。

何にもない、寂しいクリスマスだけど、キャンドルの明かりっていいですね。闇が温かく感じられます。

ここのところ、仕事ばっかりだったので、スノードームのオルゴールが鳴りやむまでのほんしばらくの間、ぼんやりしました。

子供のころのクリスマスを思い出します。クリスチャンだった祖父母にとどく、外国からのクリスマス・カードを見せてもらうのが楽しみでした。

祖父の炬燵にかけてあった手作りキルトはたしかアメリカの知り合いからのプレゼントでした。

キルトというと立派な作品みたいなものが多い昨今ですが、それは、模様も大きさもバラバラな、本当に小さな端切れを綴り合わせたもので感動的なつつましさでした。

着古した服の、まだ使えるところを丁寧に切り取ったのでしょう。端切れの一つ一つが洗いざらした薄さと軟らかさで、子供心に、なんてすてきな贈り物だろうとおもいました。

オルゴールもやみました。雪が物音を遠くしますね。静かな夜です。

 

冬の日のキルトに綴るその昔   おるか