やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

猫さんの教え

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日曜が思いがけず晴れていた。嬉しい。

一日がとても静かに暮れていこうとしている、幸せかもしれない。

猫さんが教えてくれたこと、その一 「幸せなのを恥ずかしがる必要はない。」

家族も友達もなく、業績もなく、金もなく若くもない。

そんな私でも、何の音もしない秋の日暮れ、幸せだと思うことを恥じる必要はないのだ。

 

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十一月の俳画と口切のお抹茶

いつの間にか咲いては散っていた庭の山茶花

雪国のせいか、葉裏に隠れるように蕾がついています。椿はそんなふうに雪国に適応した品種としてユキツバキ(藪椿の変種、亜種とする説もあります)がありますが、山茶花も同様なのかな。句は

雑木林打ち項打つしぐれかな  おるか

俳画としてはいじりすぎてしまいましたね。加賀市胆振橋の加賀ボウチャギャラリーのカフェ実生にかざっていただいています。

去年描いた柿の絵も飾ってあってちょっと嬉しかった。

 

お抹茶の色もきれいです。お菓子は舟和の藷羊羹です。八の日のスペシャルメニューですって。

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十一月の食卓。ノヴェッロ、おいしかった!

 

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時雨の晴れ間に寒ブリ買いに

 時雨の晴れ間に買い物に出て、橋立漁港に上がったお魚を買いました。
鰤がありました。今年はまだ鰤起こしは聞いていないけど、そろそろ季節です。北陸の寒ブリはおいしいですからね。鰈の塩焼きも「激ウマ!」とタグが付いていただけのことはありました。この辺りのお魚屋さんは焼いてくれるんです。

写真手前は、能登の牡蠣で牡蠣ご飯。このところ亜鉛不足でしたので補給しませんとね。器は赤絵稚竜と子獅子飯碗。見込みに竜、外側に獅子三頭です。
 子持ち茄子向付けに、鰤お刺身。左、花散らし丸長皿に鰈。その向こう、能登のベビーリーフのサラダ。小松菜とか杓子菜とか日本のお野菜のベビーリーフです。
山茶花に隠れて見えませんが、紅葉の飯碗に加賀湯葉の煮たの。点前の御汁は、加賀湯葉を煮た後の豆乳お湯で作ったお味噌汁。白いのは豆乳の色です。
お米も地元のものだし、今回は加賀の地物の味です。ワインはイタリア、2019ノヴェッロ。山の方の赤と海の方の白。今年のノヴェッロはすごく良いそうで楽しみです。

写真を撮っている真にまた時雨。雨も嫌いではないけれど、時雨の通り過ぎた後の、金色のレースで編まれたような光は特別です。

時雨は大切な季語ですから名句は多いけど、面白いのは

化けさうな傘かす寺のしぐれかな  蕪村

蕪村らしい。たしか、飄逸な絵もありました。貸してくれたのはありがたいけど…という気持ちが、おかしくもあり、やがて侘しくもあり、いかにも時雨の気分です。

 

 やはやはと時雨の蛇体山を捲き   おるか

山道で時雨に追いつかれてしまって。少しばかり濡れたけど、あっという間に通り過ぎた後は、不思議に明るくて、白蛇のお腹の中はこんな感じかな、とおもいました。

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今月の表紙

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十月の俳画 山路の杜鵑草

杜鵑草は品種がいろいろありますが、裏庭にあるのは、山路のほととぎすです。名前の通り,山野草の風情があって全体に小ぶりで繊細な印象です。

葉っぱが虫に食われているのが、秋らしい、かな?

句は

筆洗ふ絵の具によごす秋の水  おるか

秋は水が澄むころだそうです。水道水ではよくわかりませんが、絵の具が、色のついた渦になって流れ去るのを見るのは、、水を汚しているようで気が退けます。

山道を少し辿ると湧き水があります。夏の間は虫が多くて汲みに行けませんでしたが、そろそろ行けるかな。その水だとお茶の味が違うんですよ。

 

十月の表紙 木の葉形皿あれこれ

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 ベランダに朴の枯葉の散る音がします。手すりを這う蔦の葉は、少し色づき始めたくらい。この辺りの紅葉の見ごろはもう少し先のようです。温暖化のせいか、紅葉は遅くなりましたね。

 春の花と秋の紅葉とどちらが好きかという問いは、おおざっぱすぎる質問ではありますが、額田王は「秋山の木の葉を見ては黄葉をば取りてぞしのぶ青きをば置きてぞ嘆く。そこし恨めし秋山ぞ我は」と 紅葉に軍配を上げています。たしかに、落葉を拾うのは楽しいし、枯葉を踏む音も心に響きます。

今年第一の紅さこの一片の紅葉かな 原石鼎

ひとひらの紅葉の紅さに打たれて、「今年見た赤の内で一番美しい!」と思う気持ちよく分かります。掌に包んでこその感動でしょうね。

 前置きが長くなりましたが、そんなわけで木の葉型の器を並べてみました。
写真手前の染付木の葉形大鉢には白山豆腐のサイコロステーキ(?)。

 白山名物のとても固い堅豆腐は水切りする必要がなくてべんりです。木の葉の子皿にそれぞれタルトゥフォ、ブラックオリーブとトマトのパテ、菜の花のオイル漬けなど、ちょっとづつ乗せて風味それぞれ。

 左側の菊の葉の向付には加賀市の橋立漁港の貝のお刺身、右の萵苣の葉向付は、富山湾の宝石、白エビの天婦羅。そして紅葉のお椀に、加賀蓮根の煮たの、です。

 
 真紅の木の葉形大皿に葡萄、その奥、紅梅白梅図の木の葉形皿にも葡萄、花に隠れていますがその向こうの木の葉形皿は夕照帰帆図。
 
木の葉、草の葉、みな盛り付けやすい形です。昔々,まだ焼き物がない時代には、きっと食べ物を木の葉に盛っていたのでしょうね。

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色絵の小さな植木鉢、雑草が良く似合う。

九谷焼美術館のカフェで菊花茶をいただきました。菊の香りとクコの実のほのかな甘み。

ガラスの蓋を傾けてチューチュー啜るのが、どことなく淫靡で好き。

色絵の植木鉢はわたしの作ったものです。カフェに置いていただいています。

ちらほらと紅葉の始まる公園の木々の梢をながめながら、のんびりボードレール読みました。静けさが美味しいカフェです。

 

パンとミルクを買いに出たら、売り場の雰囲気がなんだか殺気立っていて、どっと疲れちゃったんです。

 しかし、菊花茶の効果でしょうか。家に帰りつくころにはなぜか元気になって、草むしりの後、夜まで力仕事しました。元気回復するにも ほどがありますね、ダハハ。

はじめまして

ブログひっこしてきました。今までは「焼きもの日和」「という名前でした。

ホームページは「うつわ歳時記」です。

毎月の歌仙は、同じ はてなブログ の「かがなべて」に、

エッセーなどは「とちの木の実」に、こちらも少しづつ纏めるつもりです。

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よろしくおねがいします。

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