白い花の季節になりました。
夕闇に白く浮かぶ花の顔はなつかしい。
さつきまつ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする よみびとしらず
古今集の時代のひとも、この季節は昔の人が懐かしくなったんですね。新緑があまり輝かしいから、かえって哀しくなってしまうのでしょうか。
白い紫陽花が随分早く咲いたので染付の鉢にいけてみました。紫陽花は朝切ると水揚げがいいんです。
白い花が好きなので、紫陽花も白を選んで植えていたのですけど、山道で折った枝を挿し木したり人からいただいたりして、いまは色々な紫陽花が庭に咲くようになりました。その季節になると紫陽花の花首を大鉢に山盛りにします。
この白紫陽花の白はあまり寂しい白じゃないからほっとできます。山に生えている紫陽花の仲間の白い花、ウツギ(卯の花)やイワガラミなどはだいすきだけれどかなり淋しげな白で、部屋に活けて置くのがちょっとつらいですね。個人的な感覚でしょうけど。
清少納言は卯の花を牛車に飾り付けてはしゃいでるから、別に哀しくなかったのでしょうね。清少納言が心酔していた中宮定子がいきていたころのことだからなのかな。