やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

紅梅

イメージ 1

 枕草子に「木の花は濃きも薄きも紅梅」とあります。梅が大陸から到来して、そんなに間がない万葉時代は梅を詩歌に作るのがお洒落だったそうで、万葉集には桜の三倍近く詠まれているとか。ぎゃくに平安時代は国風隆盛の時代ですから、桜がもてはやされますね。源氏物語のヒロイン紫の上が樺桜に譬えられているのもそのあらわれでしょうね。そんななかで清少納言は「木の花は紅梅」といった。彼女らしい反骨精神なのでしょうか。

 今でも何かと使われる松竹梅はまず中国宗時代の文人達の間に流行ったのだそうです。寒さにめげない姿に、大勢に迎合しない節操と清廉の象徴を見たのでしょう。漢籍に詳しい清少納言女史はほぼリアルタイムで中国の文化ニュースをゲットしていたのでしょうか。それとも反骨の文人魂は万国共通なのか。
 ともあれ、紅梅の魅力には愛らしさと同時にきりっと切れ味の良さもありますね。文人画でも古木の枝ぶりに楚々とした花の対比が面白いものです。
 冬の一日、小皿や小盃に梅の花を咲かせてみました。
 なにかと厳しいご時世ですが、冬木の芽はしっかり春の準備をして堪えています。私もうなだれてばかりいないで、お日様に顔を向けていようと思います。