やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

初蝶来

イメージ 1

絵付け室の窓に何か影が動くと思ったら蝶々である。茶色っぽい羽、キタテハか?、毎年毎年、蝶を始めて見る日が早くなっているのは感じていたけれど、それにしても雪解雫の音の中で見るのは初めてだ。蝶々の方も飛び出してしまったのに自分で驚いているようでバタバタと屋根の方に行ってしまった。これで、また霙でも降ったらすぐ死んでしまうだろう。第一、花が咲いていない。お腹をすかしてどこまで飛んでいったのだろう。温暖化の犠牲者である。

 オルカは今日は一日中絵を描いている。といっても考え込んだり描きなおしたりで大して仕事にはなっていないようだ。「今朝の夢のなかでは力強い絵を描いたり、禅語のようなものを書道作品にしたり、すごく充実した仕事してたんだけどな~。目が覚めたらはかなく消えうせてしまったんだ」とぼやく。そういうのを「怠け者の夢」っていうのよ。夢の中で代償作用して、実行を先に延ばすっていうことなのね。
 おろかな人間のぼやきは背中で聞き流して外を眺める。桃の木の花芽が大分膨らんで来ている。木々はしずかに着々と年輪を増やすことに自足している。
 解剖学者の養老先生が「人間以外の生き物は他者の立場に立ってものを見ることが出来ない」とおっしゃっていた。それは想像力ということだろうか。しかし共感ということなら、我ら猫は、すでに人間の浅知恵を越えた、一即多、個にして宇宙との合一を生きているのである。地球が冷えたときは我輩も寒く、我輩が腹減ったときは自然も腹減っているのである。ガルル。

  初蝶や虚空も腹を空かしをり  ミケ