久しぶりに晴れ間がみえたので、ちかくの那谷寺へ冬の紅葉を見に行きました。
末枯れた風情が渋い、ともいえる。
「奥の細道」にも
石山の石より白し秋の風 芭蕉
と詠まれた景勝地です。写真では時雨に濡れてちょっと灰色っぽいですが普段はもっと白く輝いています。石英が多くふくまれている岩なんです。
芭蕉の句は近江の石山寺ではないかという説もあるそうですが、石山寺の岩は珪灰石の塊でかなり濃い灰色です。陰陽五行説などで秋の色は白だそうですね。その白いと言われる秋の風と、近江の石山寺の岩は、比べるまでもない暗い色味です。
那谷寺の岩山はサラサラと白く、秋風の白さを強調するにはうってつけだとかんじます。
比較的柔らかい岩なので階段や通り道が岩をくりぬいて掘られています。長い年月の間に磨り減った岩の感触が足裏から心に触れてくる。
冬紅葉の中に骨の白さで浮かんでいる石の山は廃墟のように美しい。
何で私は、廃墟が好きなのかな。枯れた山の中に磐座の見える風景に惹かれるのも、それが廃墟を思わせるからかもしれない。岩は変わらないもののように思うけれど、やはり壊れてゆく。うつろいゆくものは美しい。
時雨るや岩に消え行く磨崖仏 おるか