我が家の裏山で
今は夜。五月五日になったところです。鵺が鳴いています。
たしかに、信号音のような不思議な声です。そういう機械的な音など聞いたことのない平安時代の人々が、何かわからなくて不安に感じただろうことは想像できます。
闇の中を移動しながら鳴くので一入不気味です。闇の中を何かが近づいてくる感じ。
昔の人も「猿じゃないか?」「いや、この不気味さは、やっぱり大蛇では?」といろいろ考えてまとめて一体の怪物にしたのでしょうね。
今夜は上絵の窯を焚いているので、外に出てみたら、庭近くでも鳴いていました。餌付けしてみちゃおうかな?あ、たべものはミミズとか虫…やっぱり無理ですね。
天狗礫というのは、どこからともなく小石が飛んでくるので、「天狗だろう」ということになったのでしょう。私は見たわけではありませんが、裏山で小石のような小さく固いものが木の幹とか、竹などにあたったような音をしょっちゅう耳にします。
今日も、ていうかもう昨日ですが、日中、裏庭で気分転換にエビネの周りの草をむしってたら、山からカツーンと何かの当たった音がしました。静かなので、そういう固い音は良く響きます。
いつも聞くので、山というのは,小石が転げたり古枝が落ちるとかして、こういう音のするものなのだ と思い込んでおりました。が、そうでもないんですね。天狗礫ははっきり怪異とされるものらしく江戸時代の文献ではどこそこであったとわざわざ記されています。
我が家の裏山って、天狗様がいらして、鵺がとびまわってるんですねー。
海老根咲く天狗礫の降る音に おるか