やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

六月の俳画 猫のほほえみ

このところやや肌寒い日が続いています。梅雨寒という感じかな。句は

 

梅雨寒の猫の梯を下りる音  おるか

 

猫さまは高いところがお好きですが、降りるのは苦手で、そのせいか、多少の音が漏れます。階段を上るときは気づきませんけどね。とはいうものの、小さな音です。静かな小雨の、暇な時でもないと。気が付きません。

畳を踏む猫の足音も、ひそやかで好きな音です。

 私の幼かった頃、母は病気がちでした。ある日、病床の母のところへ行くと布団の上で眠っているようでした。起こしてはいけない、と思うものの、子供なので、やはり話が聞いてほしくて、離れられず、シーツの上に指をすぼめて、母の耳元へとポソ、ポソ、ポソと猫の足音の近づく真似をしました。ほとんど音もなかったのに、目を覚ました母は「猫の足音してくれたでしょ」とほほ笑んでくれた、それもやっぱり雨の日だったようにおぼえています。