やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

雨に咲き散る

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昨日は、冷たい雨がふっていました。
そんな中で満開になった庭の辛夷と枝垂れ桜。

今朝は色あせて、散り始めています。
招霊木も庭草の上に白い花びらを落としています。
美しい春の屍衣が庭を覆うのも今日明日というところでしょうか。。

誰に見られるでもなく開いては散ってい行く、花の繚乱。

その一日が雨の日だったのは、不運で哀れとみるべきでしょうか。豪奢蕩尽の極みと見るべきでしょうか。

仕事が詰まっているのに、ジュリアン・グラックの「陰鬱な美青年」を読んでしまいました。
題名が「ウへ~」ですが。まぁ、なんというか耽美的?
散文詩のような作品なので、翻訳が下手すると少女漫画っぽくなりそうです。少女漫画を馬鹿にしてるわけじゃありませんよ。

A・E・ポーの「赤死病の仮面」を、避暑地の海岸のホテルの、優雅に怠惰な青年たちに置き換えたような作品とでもいうか。

海の見えるホテルに集う、肉感的人妻や天使的少女や、ちょっと衒学的が青年たちのグループの前に、中の一人の古い友人だという、恐ろしく魅惑的な青年が現れる。
 男も女も否応なく、その青年アランに引き付けられるうち、だんだん不吉な気配が漂いだしますが、だれもホテルを離れられずに、秋を迎える。そして、季節の移ろいから目をそむけるように仮面舞踏会が行われる。

「赤死病の仮面」の大仮面舞踏会のさなかに登場する死のように、アランは死にゆく恋人の扮装で現れる。
アランの魅力は死の魅惑なんですね。
ああ、滅びゆくものは美しい。
桜は地面に散り敷くのもきれいですが、辛夷は枝先に、茶色に変色して、痛い姿ですね。