やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

今日の紅茶はピアノの上で

イメージ 1

秋の日のヴィオロンのひたぶるにうらがなし…

堀口大学訳のレトロな味がほんとに、うらがなしいですね。

窯出しの前のエナジー・チャージに甘い紅茶とクッキー。
いつものティー・バッグのお茶ですけど、クッキーは神戸のお店、ドイツ語かな。読めない名前の、クッキー。とてもおいしかったんです。名前も確かめずにバリバリ食べてしまったけれど。

ピアノの上でおやつなんか広げると、尾崎翠の「第七官界彷徨」のシーンを思い出します。

主人公の小野町子が炊事係をしている家の住人三五郎がピアノの上にミカンの皮だの火のついたパイプだの平気で起きっぱなしにしているシーンです。三五郎という人間の、悪い奴じゃないけど、どうしようもない人柄がよくでてますね。

尾崎翠は明治29年の生まれ。小説家を志して東京に出てきます。小説や詩などもかきました。とはいえ女性が筆一本で生きてゆくのは当時はまだまだ大変だったことでしょう。
今生きていたらどんな作品を書いたことか。「第七官界彷徨」はけっこうユーモラスでもあるので、あるいは漫画家になったかもしれませんね。
短歌はどれも春の歌ばかり。秋の歌が見つかりませんでした。

 さびしさは花咲く家に君をおきとほき旅行くわがさだめかな   尾崎翠