やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

蘇芳(すおう)の花

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 森林公園の老桜の幹から咲き出した花が可憐だと書きましたが、
蘇芳の花は幹から咲き出して、どこか異様です。私はちょっと怖いです。

 花の色はあざやかで、とても洒落た色ですよね。
 平安時代にはかさねの色目として蘇芳襲はもちろん、「装束抄」に「樺桜の襲ね」は「表、蘇芳、裏紅花」とあるように、さまざまの桜襲の色目に蘇芳はなくてはならない色でした。
 また、武士も好んだ色らしく「今様」に「武者の好むもの、紺よ紅 山吹(やまぶき) 濃(こ)き蘇芳(すほう) 茜寄生樹(あかねほや)の摺(すり) 良き弓胡ぐい(やなぐい)
 馬鞍(くら)太刀腰刀(こしがたな)云々 」とあるように長く愛されてきた日本の色です。

 しかし、樹皮を割いて、もがき出た指のような花容は、風情なさすぎ!
咲くは裂くに通じる、ということが、嫌というほど実感させられます。
たしか聖書外典でしたか、キリストを売ったユダが首を括ったのは、この蘇芳の木だとあったような。
ユダの死体のまわりで、華やかな薄赤紫の蘇芳の花が犇いていたかとおもうと、ゾワッとします。

 磨り減りし石段淵へ花蘇芳  おるか