やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

暗い日

 今日も又、霰や雪でどんより暗い空模様。昼間から室内灯をつけています。

ガラスの花瓶にあふれるほど紫陽花を活けたのは、去年のことだったかしら。枯れ枝だけ残っている。過ぎてしまえば去年だろうが、百年前だろうが同じこと。二度と帰り来ないあの日のあの花々。

 蠟梅を活けている小さな花瓶は私のですが、その下のトルコ青のお皿は福井県在住の陶芸家服部泰美さんの作品です。高い空のような青に雲みたいな形が素敵だったのでつい買っちゃいました。自分の作ったものも置く場所がないのに、器は増えるものですね。

 場所がないので、棚の本は二列になっています。読み終わったのは後ろ側、しばらく手に取っていないのは前列、という具合にスーパーの食品なみに古いのが手に取りやすいところへ並べられます。

今読んでいるのは、「植物考」藤原辰史著いきのびるブックス。

帯に「人間の内なる植物性にむけて」とあります。「むけて」が微妙な表現ですね。内容はいたって真面目というか、まともです。

著者には「ナチス有機農業」「ナチスのキッチン」等、怖いような読んでみたいようなご著書がならんでます。「分解の哲学」や「かぶらの冬」は面白そうですね。

本の最後、「植物について考えることは、初めて会った人なのに、昔から知っていると錯覚するあの感覚に似ている。」と美しい一文で結ばれています。

私は山の中に住んでいますから、植物の美しさはもちろんですが、したたかさや貪婪なまでの生への執着ぶりやらに日々 圧倒されていますので、それほどほのかにも懐かしいといった印象を持ってはおりませんのです。春になったら庭の植物さんたちに、もっと話しかけようと思いながら読みました。