夏の日の午後、美術館の小ほーるでチェロのコンサートがありました。
チェリストの大澤明氏は、オーケストラアンサンブル金沢で長いあいだチェロを弾いていらっしゃった方です。
今日のプログラムはまずリゲティの無伴奏チェロソナタ。これは結構重かった。
次はペンデレツキの「ジークフリート・パルムのためのカプリッチョ」。 カプリッチョだけあって、弦の上を指でたたくなどあたりまえ、駒からアジャスターまで”弾く”、びっくり作品でした。
私は趣味でピアノを弾きますが、ピアノは鍵盤をたたけば、その音がします。弦楽器は、鍵盤と鍵盤の間の無限の音がならせるわけですし、その他にも弓の当て方、当たる音、人間の耳の可聴域を超えた気配のようなものさえ感じられる気がして、たのしかった。
弦楽器の表現のすさまじい豊かさに圧倒されました。
何度か「お口直し」てきにBachを挟みながら、ルトスワフスキのザッヒャー変奏曲,タヘルのフラメンコと初めて聞く曲が続き、最後のソッリマの「ラメンタッツィオ」では「ああ~!」と慟哭のお声も聴かせてくださいました。ソッリマは現代の作曲家だそうですが、いいなーとおもいました。未知の世界の拡がりを目にする、いや耳にするのはわくわくしますね。
良い気分で帰り道、エノテカによって、今まで飲んだことのない、パレルモの白ワインを買いました。紺青の空にサチュロスみたいな夏雲が走っていました。
プルースト踏みにし舗石明易し おるか
プルーストはふぞろいな舗石をふんでヴェニスを思い出すのでした。大澤明氏はイタリアに留学なさったそうですがチェロはどこのかな。弾きこんだ響きでした。