やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

衝動買い日記(4)

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 弥生の土器。千年以上も昔の誰かの手でそっと形作られた小さな土の塊。今にも土に戻ってしまいそうに見える。
 作ったのはそんなに大きな手ではない。きっと女の人だ。日本という国のまだ生まれていない頃、その人はおのころと轆轤を廻し、縁をそっとつまんで、そして灰の中からこの小さな器をとりだしたのだ。
その昔のプラントオパールが罅のどこかに残っているかもしれない。
 小さな土器を撫でるたび、その上にたゆたった、文字を知らない木漏れ日を、冬至に生まれ変わったばかりの太陽の微笑を、思う。
 弥生の小皿、私は一瞬吹きつけて去った風のようなもの。私の死んだ後もきっと冬の光の中を降ってくる小鳥たちの声を聞いていることだろう。