日当たりの悪い庭の片隅に一輪咲いたサフラン。
「クレタの或る王宮の壁に
[サフラン摘み]と
呼ばれる華麗な壁画があるそうだ
そこでは少年が四つんばいになって
サフランを摘んでいる
岩の間にには碧い波が渦巻き模様をくりかえす日々」
(吉岡実 サフラン摘み)
サフランのオシベをつむと花はなんとも恨めしそうにしおれてゆきます。
それを二度ほど、つまり二年も繰り返すと、球根から花芽が出なくなりました。花も空しく咲くことに耐えられなかったんでしょうかしらね。
「腐敗してゆく すべては
表面から 」
吉岡実は常に表面のめくるめく輝きに魅せられているかのようです。
今日の戸外の黄落は輝くばかり。
ひさしぶりで「悪趣味な内面の秋の旅」(吉岡実)でも読み返して見ましょう。