やきもの日和

やきものを作ったり俳句を作ったり

ミケ様、夏の読書会

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我輩はミケ。猫である
我輩の好きな作家は、ボルヘスマンディアルグである。ボルヘスは短いから好きである。マンディアルグは、どの作品も奇妙に我輩のツボなんである。

 今日は昼寝の合間に「猫のムトンさま」をつらつらと詠んだ。太陽のように美しく巨大な猫ムトンさまの物語である。作者がゴミ箱の中に捨てたのを友人が見つけたという挿話の付いた作品であるが、ミャぁ、我輩は作家の言うことをいちいち鵜呑みにするほど純真バカな読者ではない。しかしにゃがら若書きなのは間違いない。おそらく最初の小説かもしれない。処女作にその作家の全てが現れるとよく言われるが、そうかもしれないと思う。
 ムトン様に献身しつくし、愛しぬいた老嬢が、死の床で最愛の存在の瞳の中に、怖ろしくて目をそらしていたい死の輝きを認めるあたり、この作家の全作品に描かれている”音もなく世界を支配する死の輝き”のイメージにぴったりである。

「わたしには生涯の中でもっとも愛しい人々と同様、大切な幾匹かの猫がありました」とマンディアルグは書いている。そうだろう。芸術家は猫を愛す。
猫と死神は似ているかも知れない。夕暮れのように音もなく忍び寄って蠱惑的に美しいのだから。